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2013年12月24日(火)

診療報酬 6年ぶり実質マイナス

「医療崩壊」に拍車の危険

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 安倍内閣は、来年度予算編成で焦点になっていた医療機関に支払われる診療報酬の改定について、来年4月の消費税増税に伴う医療機関の負担増を補填(ほてん)する分を除いて実質的にマイナスとすることを決めました(20日)。マイナス改定は6年ぶり。消費税増税と併せて、医療機関の経営を直撃し、「医療崩壊」に拍車をかけるものです。

実質1・26%減

 診療報酬は、2年に1回改定され、医師の人件費などにあたる「本体」部分と、薬などの公定価格にあたる「薬価」部分からなっています。今回は本体を0・73%引き上げる一方、薬価は0・63%引き下げ、全体で0・1%引き上げます。

 これには消費税増税の補填分として1・36%の引き上げ分が含まれているため、実質的には1・26%の引き下げとなります。薬価は実質的に1・36%引き下げ、本体は0・1%引き上げです。

 自公政権下の2002年から4回続いたマイナス改定による「医療崩壊」が社会問題になり、民主党政権の過去2回はプラス改定となりました。しかし、医療崩壊に歯止めはかかっていません。

 今回の改定では、消費税増税の負担分を診療報酬で補てんすることになっており、これと併せた引き上げが求められていました。にもかかわらず、ほとんど増税対応分だけにとどめたことは、安心した医療を求める国民の願いに背くものです。

窓口負担下げて

 麻生太郎財務相らは消費税増税のときに診療報酬を上げて国民負担は増やせないといって引き下げを主張してきました。国民負担をいうのなら消費税増税こそやめるべきであり、高すぎる窓口負担(現役世代3割)の引き下げこそ必要です。

 診療報酬は国民が受ける医療の質と量を保障するものであり、低ければよいものではありません。医療への財源投入は雇用創出や経済波及効果も高いものです。医療崩壊を食い止め、地域医療を再生するために抜本的引き上げこそ必要です。

患者追い出しも

 改定率決定を受けて中央社会保険医療協議会で診療報酬の配分作業が行われます。すでにまとめられた基本方針では、「医療機関の機能分化・強化と連携、在宅医療の充実」と称して「医療提供体制の再編」が大きな柱にすえられています。

 入院医療については、急性期病床(入院ベッド)の削減、平均入院日数のさらなる短縮、長期療養が必要な患者の急性期病床からの追い出しなどを進めようとしています。受け皿となる病床の整備もすすまないなかで、「入院難民」をさらに増加させることになります。

 在宅・外来診療では、安上がりの医療をめざす「地域包括ケア」に向けて、大病院の外来診療の縮小、「主治医」機能のある診療所・中小病院に対する「包括評価」の導入、看護師などによる在宅業務の拡大などがねらわれています。地域医療を支える開業医・歯科医師の役割を低下させる危険性や、患者のフリーアクセス(医療機関の選択)を侵害しかねない問題点もはらんでいます。(深山直人)


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