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2013年12月1日(日)

BS日テレ「深層NEWS」

志位委員長大いに語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は28日、BS日テレの「深層NEWS」に出演し、安倍内閣の経済政策をどう見るか、外交・安保政策をどうするかの疑問に丁寧に答えるとともに、日本共産党のめざす政治の方向や提唱する北東アジア平和協力構想について、キャスターの玉井忠幸(読売新聞編集局次長)、小西美穂両氏と語り合いました。


共産党の躍進の理由は

「自共対決」の構図がすっきり
/共産党を丸ごとわかってもらう努力も

 「参院選での共産党の躍進ぶりについて話を始めたい。その理由は何ですか」と切り出した小西氏。志位氏は(1)自民党に正面から対決する「自共対決」を鮮明に打ち出したこと(2)どんな問題でも国民の立場で対案を示したこと―にあると強調しました。

 玉井 自民党にも民主党にもなかなか今回入れたくないという人をぐっと引き寄せたということなんでしょうね。

 志位 実際に民主党が政権をとってみたら、やることの中身は自民党と一緒だった。これにたいする幻滅がひどくおこって、「二大政党論」は破綻しました。

 その後、「第三極」なるものが出てきたけれど、やっている中身をみたら、自民党の補完勢力じゃないかということが明らかになった。そうすると霧がぱあっと晴れたように政党の関係がはっきりしてきて、自民党対共産党という対決の構図がすっきりと分かりやすくなってきたというふうに思います。

 玉井氏は「対案が実現するかどうか、無党派層から相当きびしく見られているのでは」と述べました。

 これに対し、志位氏はこう答えました。

 志位 今度の選挙では、「共産党はあまり好きではないけれど他に入れるところもない、自民党がどうも危ないから」ということで入れてくださった方も多くいらっしゃると思います。そういう方には共産党を丸ごと分かってもらい、好きになってもらう努力を私たちはやらなきゃいけない。対案として掲げたことは一歩でも二歩でもその方向で政治を動かす努力をやっていかなくちゃいけない。心してかかりたいと思います。

躍進で国政がどう変化したか

ブラック企業規制の法案提出
/秘密保護法案でも本質つく論戦

 日本共産党が参議院選挙で躍進した結果どうなったか―。玉井氏は、議案提案権に触れるとともに、国会の論戦がどう変化したのか問いました。

 志位氏は「議案提案権を参議院で得ましたので、早速、ブラック企業規制法案を提出しました。安倍首相も『国会でよく議論していただくことになる』『若者を使い捨てにすることは社会的な問題だ』と認めざるを得なくなりました。ぜひ、この法案を実らす方向でがんばっていきたい」と決意を語りました。

 また、他党からも同法案の説明を求められていることを紹介し、「いろいろなたたかいを国会内外で起こすことで、法案の実現に向けた運動をやっていきたい」と述べました。

 秘密保護法案をめぐる国会論戦について志位氏は「この法案の恐ろしさを正面から明らかにする活動をやってきました」と強調。「特定秘密」が無制限に広がること、一般の国民も処罰や監視の対象になること、法案の狙いが「海外で戦争する国づくり」にあることなどを、論戦で明らかにしてきたことを紹介しました。

 志位 問題点を次々と明らかにするなかで、世論が変わってきたと思っています。最近の「日経」の世論調査でも、反対が50%、賛成が26%と、はっきり反対が多数になりました。今国会で「慎重審議をすべき」という方はだいたい8割です。そういう国民の多数の声と連携して廃案に追い込みたい。

 玉井 維新の会やみんなの党のように、具体的に法案を修正させたりだとか、民主党のように対案を出して具体的に与党と協議することはしないのですか。

 志位 今度の法案は、修正をするような代物ではないんです。このような特別の刑罰をもって、情報を漏らした人や、探知しようとした人を処罰する法律は必要がないということです。現行法でも十分対応できるというものであって、立法理由そのものがない。きっぱり廃案にするのが、本当の意味での対案です。

アベノミクスどう見る

すでに国民が評価を下し、日本経済の動きが答えを出している

 アベノミクスをどう見るか―。こう問われた志位氏は、次のように答えました。

 志位 国民のみなさんがその評価を出していると思うんですよ。時事通信の10月の世論調査では、「景気回復が実感できない」という方が76%、半年前の68%から、大きく増えています。

 それから、日本経済の動き自身がアベノミクスの評価を下していると思うんですよ。この間、7〜9月の経済指標が出てきましたが、GDP(国内総生産)の数字は年率換算で1・9%まで落ちました。その前の時期は、(1〜3月が)4・3%、(4〜6月が)3・8%と来て、1・9%にはっきり減速した。

 その中身をみると、かろうじて全体のGDPがプラスになったのは、増税前の住宅の駆け込み需要と、公共投資のバラマキの効果です。一時的なカンフル剤が効いているだけです。一番の問題は働く人の賃金が16カ月連続マイナスになっていることです。

 国民の実感から言っても、足元の経済の指標を見ても、アベノミクスで日本経済がよくなったとはとても言えない。

 小西 株価はあがっていますが。

 志位 株価は一定上がったとしても、国民の所得はどんどん減っているのは変わりはないんです。

 玉井 安倍内閣は高い支持率を保っています。景気、経済への期待感のあらわれだと思いますが。

 志位 漠然と聞くと、期待も込めてそういう数字が出るのだと思います。ただ、これから安倍内閣がやろうとしていることの一個一個を考えますと、秘密保護法、消費税増税、原発推進、TPP(環太平洋連携協定)のどれも国民の多数の声に反することですから、安倍内閣は今、調子がいいぞと思っているかもしれないけど、その基盤は非常にもろいと思います。

賃上げをどうやって実現するか

大企業の270兆円の内部留保活用へ――「三つのあわせ技」で

 玉井氏は、消費税増税に頼らない財政政策について問いました。

 志位氏は、(1)応能負担原則にたった税制改革(2)国民の所得を増やす経済改革―の二つの柱で税収を増やし、財政再建も社会保障拡充も同時並行で成し遂げる道筋を具体的に示しました。

 「問題はそれ(賃上げ)をどうやらせるか。自由主義経済の下でそれが本当に効くのですか」と問う玉井氏に、志位氏は「三つのあわせ技でやっていく必要があると考えています」と表明。

 (1)政府が経済界に対して正面から内部留保の活用で賃上げをと迫ること(2)雇用のルールを強化して安定した雇用を増やし賃上げをはかること(3)最低賃金を引き上げるなど政府が直接に「賃上げ政策」を実行すること―の3点を提起しました。

 「こういうあわせ技で、大企業のなかにたまっている270兆円の内部留保を動かして、社会に回るようにする。そのことによって、内需主導で経済の持続的な成長への好循環をつくっていくということです」と述べました。

共産党がめざす経済は

大企業に社会的責任をルールある経済社会を展望

 「日本共産党がめざす経済」について話題になりました。

 小西 そもそもの質問で恐縮ですが、日本共産党が目指している経済というのは、その名の通り共産主義なんですか。

 志位 今、私たちが当面目指しているのは、資本主義の枠内で大企業にもっときちんと社会的責任を果たしてもらうという経済です。

 大企業に雇用への責任、中小企業への責任、税金への責任、環境への責任、地域経済への責任など、ちゃんと力にふさわしく果たしてもらうということです。

 小西 将来的な理想形は共産主義にあるということですか。

 志位 (人類の社会は)資本主義で終わりではないと考えています。その先に進む展望はありますが、まずは資本主義の枠内で大企業に応分の社会的責任と負担を果たしてもらう経済改革をやる、「ルールある経済社会」をつくるというのが、私たちの考えです。

中国に対してどう対応するか

外交交渉で腹をすえた対応を
現状を力ずくで変更する動きは許さない

 北朝鮮の核兵器問題や尖閣諸島をめぐる紛争など、緊張が高まる北東アジアの情勢が話題になりました。玉井氏から「中国に対してどう対処すべきだとお考えですか」と問われ、志位氏はつぎのように語りました。

 志位 まず、尖閣諸島の問題ですが、私たちは突っ込んだ見解を出していますが、日本の領有の正当性は国際法上も歴史的にも明瞭だと考えています。「日清戦争に乗じて盗み取った」とする中国の主張はまったく成り立ちません。

 この問題で大切なのは、日本政府が、外交交渉でそのことを徹底的に明らかにして、中国側を論破するという腹を据えた対応を行うことです。

 玉井 ただ、今、向こう(中国)が会談自体を拒否しているということで、打開のしようがないですね。

 志位 外交交渉でこの問題を議論しようじゃないか、正面から受けて立とうといえば、会談に応ぜざるをえなくなります。

 玉井 領土問題の存在を認めてしまうのですか。

 志位 領土に関する紛争問題は存在するということです。ですから、それを正面からふまえて、外交交渉による解決をはかる。外交交渉で相手を論破することです。

 この間、結局、まともな主張もしない、反論もしない、抗議もしない、ずるずるあいまいな対応をやってきた結果、こういう事態を招いているわけなので、外交交渉ではっきりと決着をつけようということをやるべきです。

 それからもう一つ、中国の問題で言いたいのは、日中双方が、外交的解決に逆行するような物理的対応、軍事的対応は、自制する必要がある。この点で、中国が、政府の船を領海内に入れてくる、あるいは航空機で領空侵犯をする、無人機なども飛ばしています。そして今度の「防空識別圏」の設定です。これは許すわけにはいきません。日本が実効支配しているところを、中国が力で実効支配を弱めるということは、国際社会では絶対に許されないことです。

北東アジア平和協力構想

軍事にもっぱら頼った安全保障から脱却、対話と信頼醸成で安全保障を

 続いて日本共産党の外交・安保政策と自衛隊についての見解がテーマになりました。

 志位氏は、自衛隊を将来的になくす方向について問われ、「憲法9条との関係では違憲の軍隊という認識を持っています。ただ、一挙にはなくすことはできないと考えています」と述べ、(1)日米安保条約を国民合意の上で廃棄する(2)自衛隊は軍縮の措置をとるが、当面は民主的政権と共存する時期が続く(3)憲法9条を生かした平和外交を進め、世界とアジアのすべての国と平和的関係をつくり、東アジアの平和的環境も成熟するもとで、「自衛隊がなくても大丈夫だ」という圧倒的多数の国民合意がつくられたときに自衛隊解消の措置をとる―との考えを紹介しました。

 玉井 日米安保条約を廃棄すると、自主防衛でやらなければいけないのではないですか。

 志位 事実認識の問題ですが、今の在日米軍で日本の防衛のために働いている部隊というのは実はないんですよ。在日米軍の主力というのは、海兵隊と空母の機動部隊でしょ。これは両方とも海外遠征の部隊なんです。これは日本防衛の任務は与えられていないのです。そのことは、米国のワインバーガー国防長官、チェイニー国防長官や、久間(きゅうま)元防衛大臣も認めています。だから在日米軍が撤退しても、日本の防衛が大変になるということにならないのです。

 小西 でも日米安保なし、米軍基地なし、これで日本をどう守るんですか。

 志位 たとえば、東南アジアを見てください。東南アジアにはもう軍事同盟はありません。東南アジアにはかつて、SEATO(東南アジア条約機構)という米国中心の軍事同盟がありました。ところが、ベトナム戦争などで互いが傷つけあった反省などをふまえ、それがなくなりました。いまは軍事同盟がないんです。

 ASEAN(東南アジア諸国連合)という平和の地域共同体をつくり、軍事同盟ではないやり方で平和を守っています。東南アジア友好協力条約(TAC)という、武力行使を禁止し、紛争の平和解決をはかる不戦条約を結び、それをアジアと世界に広げています。

 東南アジアで現にとりくんでいるような平和の地域共同を北東アジアにも広げていこうというのが、私たちの提案です。「北東アジア平和協力構想」というのを提唱しています。

 玉井 それができればいいですが、北朝鮮が話し合いに乗ってくるのか。

 志位 北朝鮮の問題も、どう解決するかといったら、戦争という解決の選択肢はないでしょう。

 玉井 そうです。戦争にならないようにしていかなくては。

 志位 この枠組みとしては、6カ国協議というのがあるんですよ。6カ国協議は、2005年9月に共同声明を出しています。困難はあってもこの声明にもどって、非核の朝鮮半島をつくる、核・ミサイル・拉致・過去の清算など諸懸案の包括的解決をはかる、そしてこの枠組みを北東アジアの平和と安定の枠組みに発展させる。そういう努力が必要です。

 軍事にもっぱら頼った安全保障という考え方から脱却して、対話と信頼醸成、紛争の平和的解決による問題解決――外交の力によって平和を確保する、安定を確保するという方向への考え方の転換が必要です。

 ASEANに行きますと、それを現実に実践しているんです。この地域にもいろいろな紛争問題がありますが、ASEANでは年間1000回以上もの会合をやっている。年がら年じゅう会合をやり、対話と信頼醸成をはかり、「紛争を戦争にしない」ということを実践しているわけです。

 私たちは、ASEANのような枠組みを、北東アジアにも広げていこうではないかと、具体的な提案もしているんですが、これをもって実際に外交的な努力もしてみたいと思っています。

連合政権の展望は

「一点共闘」の広がりに希望
資本主義の枠内の改革派との共同の展望

 番組は最後に、「日本共産党が何を目指すのか」がテーマになりました。

 玉井 共産党がめざす連合政権のパートナーはどのように考えていらっしゃるのですか。

 志位 私たちは民主連合政府と呼んでいますが、連立政権をめざしています。それで今、パートナーとなるところが政党としてあるかといったら、残念ながらないですね。

 ただ、今、私たちが希望を持っているのは、一致点にもとづく共闘です。例えばTPP反対とか、原発ゼロとか、消費税ストップとか、秘密保護法案反対とか、いろいろな一致点での共闘―「一点共闘」がずっと広がっています。

 同時に、政権を組むとなったら、日本の政治の基本のところで一致がないといけない。私たちは、日本の政治には世界に類のない二つのとんでもない異常があるといっています。

 一つは、アメリカいいなりの異常。沖縄のような基地が密集している、首都圏に厚木と横田と横須賀という巨大基地を抱えている、こんな基地国家はないですよ。

 もう一つは、あまりにひどい財界中心の異常。それをやってきたために働く人の賃金は下がり続け、GDPも下がる、これが行き詰まってしまっている。

 この二つのゆがみを正して、「国民が主人公」といえる日本をつくろうというのが私たちのプランなんです。

 玉井 いい政策はあっても、綱領に「社会主義・共産主義をめざす」とあるから近寄りがたいのでは。

 志位 それはね、横において協力するんです。

 玉井・小西 横におくんですか。

 志位 私たちは、社会主義・共産主義の日本をすぐつくろうなんていっていません。まずは資本主義の枠内で「国民が主人公」の国をつくるというのがプランです。

 私たちがめざしている民主連合政府というのは、資本主義の枠内での民主的改革をやる政権なんです。ですから、私たちのパートナーになる相手は、修正資本主義派といいますか、資本主義の枠内で改革を求める人々、保守の方々を含めてそういう人々と一緒にやれるという展望を持っています。


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