2013年11月29日(金)
きょうの潮流
もしあなたが、初めて会った人から多額の現金をポンと提供されたら…。驚いたり、気味が悪かったり。出した相手や、お金の意図に考えをめぐらすでしょう▼親切な方だと思った―。医療法人の「徳洲会」グループから5千万円を受け取っていた猪瀬都知事は記者会見でそう答えました。選挙資金だったといえば、報告書に載せていないので法にふれる。苦し紛れとはいえ、あまりに浮世離れした言い訳です▼昨年11月6日、入院中の徳田虎雄前理事長にあいさつし、初対面したという猪瀬氏。2週間後に息子の徳田毅衆院議員から5千万円を受け取り、翌日、都知事選の立候補を表明しました。当初は「資金提供という形で応援してもらった」と語っていたのが、一変して個人の借金と言い張っています▼おかしな言動は続きます。どちらが貸し借りを持ちかけたのか、徳洲会が強制捜査された直後に返したのはなぜか、突然出してきた借用書は本物か。すべてがあいまいです▼過去最多票で都知事になり、オリンピック招致を成功。しかし、絶頂もつかの間、公人としての資格にかかわる今回の問題です。高潔さや健全性を求められる五輪運動に携わる資格も問われています▼都庁にも連日批判の声が殺到し、いつまでも言い逃れできる状況ではありません。きょうから都議会。日本共産党都議団は、議会が調査できる百条委員会の設置を提案し、都の補助金を受けている医療法人から資金提供された重大問題として真相の解明にのぞみます。