2013年11月28日(木)
介護保険 改定案
破たんに無反省 改悪に固執
厚労省が27日示した介護保険制度の改定案は、次々と方針見直しを余儀なくされていることに反省もなく、“社会保障費削減ありき”で制度改悪に固執するものです。「社会保障のため」という消費税増税の言い分が成り立たないことを浮き彫りにしています。
介護保険改悪をめぐっては、世論と運動に押されて見直しが相次ぐ異例の事態となっています。
大義ない改悪
要支援者向けサービスを全廃し、市町村に丸投げする方針は、市町村の反発にあい撤回に追い込まれました。特別養護老人ホームから要介護1、2の人を締め出す方針も、「特養以外での生活が著しく困難」な場合は認めるとの方針に転換。改悪に道理も大義もないことを自ら認めざるをえなくなっています。
にもかかわらず、訪問介護と通所介護については市町村への丸投げ方針を変えていません。国の補助対象となる事業費に上限があるため市町村はボランティアに任せたり、事業者に支払う単価を引き下げるなど費用削減を強いられるため、サービスの低下は避けられません。介護を支える従事者からは専門職としての誇りも事業としての展望も奪うものです。
介護保険の利用者負担についても、一定以上の所得者は自己負担(現在1割)を2割に引き上げ、施設入所の低所得者に対する補助を縮小するなど手当たり次第の負担増をねらっています。
安心できる公的介護を求める願いに背を向け、公的保険としての責任を投げ捨てる大改悪に突き進むことは許されません。
命と健康守れ
民意に背く改悪に固執すればするほど深刻な矛盾と批判は避けられません。
訪問看護などは命と健康に関わるから全国一律の保険サービスとして保証しなければならないと見直し対象から外すというのなら、同じく命と健康を守る訪問介護と通所介護を外していいという理屈は成り立ちません。
訪問・通所介護を“丸投げ”される市町村からは「民間もこない、NPO(民間非営利法人)もない、市町村がやるにも財源がない。格差が広がり、住民が困るだけだ」(北海道の首長)など、保険に代わる「受け皿」もなく費用削減を強いられることに反発が広がり、「国が人的・財政的に責任を果たせ」との声が上がっています。
安上がりな医療・介護をめざす「地域包括ケア」の柱である「24時間地域巡回型サービス」が始まった自治体は、わずか1割で、導入のめどもたたない市町村が圧倒的。社会保障制度の改悪をすすめようとしても前提がまったく崩れているからです。
「要支援外し」などの改悪案はきっぱり撤回し、介護を受ける人も支える人も安心できる介護制度の確立に転換すべきです。(深山直人)