2013年11月24日(日)
徳洲会グループから5000万円
選挙資金→個人的に借りた
猪瀬知事 釈明通用せず
東京都の猪瀬直樹知事が、医療法人「徳洲会」グループから5000万円の資金提供を受けたことが明らかになっています。しかし、猪瀬知事は、「選挙資金ではなく、個人的借入金」だなどと、違法性のない資金提供であることを強調しています。しかし、釈明の不自然さが関係者への取材などで浮き彫りになってきました。
![]() |
猪瀬知事は22日、徳洲会側からの5000万円の受領を認めました。そのいきさつについて当初は昨年12月に都知事選の立候補あいさつで虎雄前理事長を訪問した際、「資金提供の形で応援してもらうことになった」と報道陣に説明。ところが直後の会見では「選挙の資金ではなく、あくまで個人的に借りた」と発言を翻しました。
公職選挙法は、「選挙運動に関するすべての寄付及びそのほかの収入」を収支報告書に記載することを義務付けています。選挙と関係のない個人的借入の場合は書く必要はありません。しかし、資産報告で公表する義務は生じます。
経過を知る関係者によると、猪瀬知事は立候補当時、選挙のための資金繰りに困っていたといいます。「石原慎太郎前知事は、後援者を紹介するような親切さがない。そこで、石原氏の有力後援者だった虎雄氏に知人の紹介で会って応援を依頼することになった」(関係者)といい、選挙資金依頼の面会だった疑いが濃厚です。
また、猪瀬知事は会見で、資金提供について個人の借入金としたうえで、借りた理由について「申し出を断るのも申し訳ないと思い受けた」とも発言。まるで徳洲会側が一方的に提供を申し出てきたかのようにふるまいました。
しかし、一部報道では、猪瀬知事側が虎雄氏に次男の徳田毅衆院議員を通じて1億円を要請。虎雄氏の判断で「とりあえず5000万円」を提供したと報じられています。
虎雄氏をよく知る人物も「その話は、徳洲会関係者から直接聞いた」と語り、こう指摘します。
「ALS(筋萎縮性側索硬化症)で寝たきりの虎雄氏は、電話をスピーカーで聞く。病床の周りには、秘書や医師、看護師と何人もが常時ついており、毅議員を通じての猪瀬知事とのやりとりも何人もが聞いている。とても隠し通せる秘密ではない。そもそも巨額資金を初対面の相手から無利子・無担保で借りたなどというのは、政治家として通用しない説明だ」
隠ぺいの意図なら収賄・脱税問題も
立正大学法学部客員教授浦野広明さん
![]() |
徳洲会グループが大金を渡すには訳があります。猪瀬氏が副知事だったとき、グループは西東京市に老人保健施設を開設、都から工事額全額の7億4970万円の補助を受けているといいます。
グループの関係先が公選法違反容疑事件で強制捜査を受けた直後の9月下旬、猪瀬氏の秘書が徳洲会側に5000万円を返却したといいます。5000万円は、東京地検特捜部が11月13日、徳田議員の母の自宅で見つけました。母は周囲に借用書の存在は知らないと説明しています。
猪瀬氏は22日の記者会見で、5000万円は「あくまで個人として借り入れし、返済した」といいますが、舌の根の乾かぬ同日、資産報告書に借入金があるとの訂正をしました。
医療法人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする、としています(医療法50条の2)。
無担保、無利息、返す期限の定めなく大金を貸すことなど会計慣行としてありえません。当初の収支報告書に借入金が不記載だったのは収賄を隠ぺいする意図があったとも考えられます。そうなれば収賄、脱税の問題が浮上します。










