2013年11月10日(日)
国家戦略特区法案
佐々木議員の質問
衆院本会議
日本共産党の佐々木憲昭議員が8日、衆院本会議で行った国家戦略特区法案に対する質問(要旨)は次の通りです。
安倍内閣は「日本再興」のためだと言いますが、内容は、特定区域を指定しトップダウン方式で大企業のための規制緩和と優遇税制を実施するものです。
「アベノミクス特区をつくるべきだ」と提唱した産業競争力会議委員の竹中平蔵氏は、「岩盤規制を打破していかなければ」、「特に雇用分野は、残念ながらまったく前進が見られない」と述べ、労働者保護法制をやり玉にあげました。
竹中氏は人材派遣会社の取締役会長です。人材派遣ビジネスで利益を上げるうえで、邪魔な労働法制を意のままに変えたいという意図がみえみえです。
自分の企業の利益に直結する規制緩和さえ進めば、被害が広がろうがどうなろうがお構いなしという姿勢は到底容認できません。
具体的に伺います。
第1は、「戦略特区諮問会議」です。
経済財政諮問会議と同等の強い権限を持つ会議で、構成メンバーは総理が指名、半分をしめる民間有識者は企業側の利益代表です。企業利益に直結する規制緩和をトップダウンで進める体制づくりではありませんか。
関係閣僚は臨時に呼ばれて意見を言うだけではないでしょうか。規制緩和を進めることを多数で決められたら、ブレーキのない“規制緩和・暴走機関”にならざるをえないではありませんか。
第2は、規制緩和の内容を誰が提案するのかということです。
規制緩和について事前の提案募集に242団体から197件の応募があったといわれますが、ほとんどは企業側からの提案です。それに基づき都市再生・まちづくり、雇用、医療など6分野の規制緩和を進めようとしているのであります。
重大なのは、内容の一部が「非公開」とされていることです。提案した企業だけがボロもうけを上げる事実を知られたくないから隠すのではありませんか。全ての情報を国民に公開すべきです。
第3は、悪影響を受ける人々の問題です。
特区で実行されるプロジェクトや規制緩和によって環境破壊、労働条件悪化、医療被害、他事業者の経営悪化など、影響を受ける住民の意見はどう扱われるのか、法案のどこを読んでも見あたりません。悪影響を受ける国民の声を無視し被害を放置することになりませんか。
最後に、総理のいう「失われた20年間」は克服するどころかいっそう深刻な格差と経済の低迷をもたらすことになるという点です。
規制緩和により、90年代からこれまでに非正規労働者が881万人から2043万人に増え、正規労働者の平均年収は446万円から377万円へと減少しました。また、長時間過密労働と過労死という深刻な社会問題を引き起こしました。
その一方で、大企業が多国籍企業化して世界で利益を上げながら、内部留保額を史上空前の270兆円に積み上げ、国内経済を空洞化させています。
この法案で規制緩和が進めば格差と貧困をいっそう加速することになるのではありませんか。明確な答弁を求め質問を終わります。