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2013年11月4日(月)

主張

難病医療費負担増

患者を追い詰める改悪中止を

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 厚生労働省がすすめる難病の医療費助成見直し案に、難病患者と家族が不安と怒りの声を上げています。医療費助成対象になる難病の種類を増やす一方で、これまで自己負担がなかった重症患者に負担を求める内容です。「軽症者」を助成対象から原則除外する方針も盛り込みました。負担額が数倍に跳ね上がるなど桁違いの負担増を強いられる患者が続出します。治りにくく闘病生活が長く続く難病に苦しんでいる人たちを追い詰める改悪はやめるべきです。

生活を破たんさせる

 厚労省の今回の見直し案は、いまの難病対策が始まった1972年以降、初の大幅改変です。これまで根拠となる法律がなかった難病対策を法律で位置づけるものです。医療費助成の対象の難病を56から約300に拡大するとともに、自己負担を3割から2割に引き下げるなどとしています。

 重大なのは、社会保障費圧縮による“予算の制約”から、助成対象を拡大した費用負担分を、多くの患者に容赦なくおしかぶせる姿勢を鮮明にしたことです。

 月々の医療費の上限額引き上げは、所得に関係なくすべての難病患者世帯に影響します。年収160万円の世帯では、可処分所得に占める医療費上限の割合は現在の2%から10・6%にまで激増します。これまで自己負担がなかった住民税非課税世帯も最大6000円の負担を求められます。

 現在負担ゼロの重症者約8万人にも所得に応じて負担させます。数万円の支払いが必要になる世帯も少なくありません。「軽症者」を助成対象から除外する原則は、治療や薬で症状を抑えている患者の状態を悪化させるものです。

 難病患者の負担は医療費だけではありません。家族の付き添い費用や、遠くの専門病院に通う交通費などさまざまな出費がかさみます。激痛や慢性的なだるさなどで仕事を続けられなくなり、家族に経済的に依存しながら、いまでもギリギリの暮らしを維持している人も多数います。「せめて医療費だけでも負担を軽くしてほしい」というのが患者と家族の痛切な願いです。厚労省の見直し案は、この願いに真っ向から逆らう暴挙以外のなにものでもありません。

 厚労省は難病医療費助成の見直しにとどまらず、小児がんなど子どもの特定の慢性疾患などの助成制度についても負担増を強いる改悪を行おうとしています。先天性の難病や子どもの時代から発症する慢性疾患は、成人してから引き続き医療費助成を受ける仕組みになっていません。継続した支援策が求められているのに、そこには手をつけず、子ども時代の負担増を強いることは許されません。

尊厳もって暮らせる社会

 難病は、誰もがいつ突然発症してもおかしくない病気です。発症から一生付き合っていくことも必要な困難な病気を抱えても、絶望することなく、尊厳をもって患者が暮らせる社会をつくることが政府の役割です。今年1月に厚労省の委員会がまとめた提言でも難病患者を社会で支える理念を掲げています。見直し案はその理念にさえ反します。

 難病患者にも負担を強いる消費税増税に頼らず社会保障財源を確保し、すべての難病患者が必要な医療を安心して受けられる制度にすることこそが求められます。


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