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2013年11月4日(月)

記者座談会 介護保険―要支援外し狙う安倍内閣

広がる国民の批判・運動

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 安倍内閣がねらう介護保険制度の大改悪。浮かび上がった特徴と広がる反対世論・運動について、担当記者で話し合いました。


■ 制度の破綻示す

  受給権が認められた要支援者を保険給付から外すなど制度の根幹を変えるものだ。これまでも改悪が行われ、「保険あってサービスなし」といわれてきたが、介護保険といえない。制度の破綻を示している。

  介護保険は「介護の社会化」といって出発した。その後「予防重視」といって要支援者の利用を制限してきた。今度は市町村任せにする。サービスがなくなったり、高くて使えない市町村が出てくる。重度化してかえって費用が増えることは必至だ。大義も道理もない。あるのはむきだしの削減だけだ。

  「要支援外し」で削減する費用は2025年度で2000億円。消費税10%への増税分13・5兆円のわずか1・5%だ。安倍首相は「消費増税は社会保障のため」というが、でたらめだよ。

  厚労省は、市町村の要支援者向け事業費に上限を設けることを打ち出した。必要に応じて給付するのが保険だ。勝手に設けた上限で機械的にサービスを打ち切るなら保険制度でなくなる。

  大阪社会保障推進協議会には住民から「やらずぼったくり」との声が寄せられた。保険料を納めたのにサービスを受けられないのでは“国家的詐欺”といっていい。

■ 利用者も首長も

  地方から反対の声が広がっている。ある自治体の首長は「民間もこない、NPO(民間非営利法人)もない、市町村がやるにも財源がない。格差が広がり、住民が困る。国は何を考えているのか」と憤っていた。

  認知症の人と家族の会が各地で運動に立ちあがっている。取材の中では「迷惑をかけているから、お上にはなかなかものをいえないという思いもあった。しかし介護保険に期待していたのに使いづらくなり、対象からも外される。黙っていられない」という声をよく聞いた。

  きちんと支援すれば認知症の進行を食い止め、軽くすることもできる。その実践も積み上げてきたのに、その到達点をひっくり返すのか、「愚の骨頂」だという批判も出ている。

  事業者にとっても「要支援外し」となれば経営が成りたたないと危機感が強い。専門性を持った労働者でこそ利用者の状態をきちんと見て適切なサービスを提供できる、ボランティアでもよいというのは介護の否定だと憤っている。厚労省は2025年度までに介護労働者を100万人増やす計画だが、これで増えるわけがない。

  全国各地で改悪反対の意見書が広がっている。北海道では18自治体で決議が上がっている。要支援者向け事業に上限を設けることになり、怒りは広がるはずだ。これから開かれる12月議会ではさらに増えるだろう。

■ 世論が押し返す

  世論と運動に押されて厚労省は10月30日、「特別養護老人ホームの入所制限」から常時見守りが必要な認知症の人を例外とする方針を示した。一度出した方針が1カ月余で見直されるのは、極めて異例のことだ。

  ある人は「見直しは前進的な変化だ。運動で変えていける可能性を感じている」と語っていた。

  全日本民医連、全国社保協などは署名運動や申し入れなどに取り組み、国庫負担増で改善するよう求めている。大阪社保協では審議会に1万人の要請はがきを送る運動に取り組んでいる。11月末にも行われる改悪案決定までに世論を広げることが決定的に重要だと意気込んでいる。たたかいはこれからだ。


改悪の主な内容

◆要支援1・2は、保険給付の対象から原則として外す

◆特別養護老人ホームへの入所は「要介護3」以上に限る

◆ホームヘルパーの生活支援は廃止。デイサービスは機能回復訓練に制限

◆利用料を所得によって2倍に引き上げ

◆低所得者でも預貯金などがあれば施設の居住費・食費を補助しない


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