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2013年10月29日(火)

原発汚染水タンクずさん管理

元作業員 今度は実名で告発

人減らしのなか工期優先 ■ 悪化する作業環境

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 放射能汚染水の漏出、海洋への流出が繰り返される東京電力福島第1原発。本紙1日付1面で「汚染水タンク、ガムテープでふた」と匿名で告発した元作業員が、今回は実名で証言しました。



写真

(写真)政府・東電の無責任な対応を告発する上地剛立さん=沖縄県

沖縄県在住 上地剛立さん

 証言したのは昨年7月から年末まで、沖縄県から福島第1原発の収束作業についた元作業員の上地剛立(うえち・よしたつ)さん、48歳です。大成建設が元請けの2次下請け作業についていました。半年間の原発作業のなかで、汚染水漏れの原因が「東電のコスト削減」にあることを実感しています。

さび止め厚塗り

 東電が「コスト削減」策として競争入札を強化するなかで、目立ったのが人員削減でした。「人減らしのなかで工期が優先され、作業環境が悪化した」

 昨年10月のことです。タンクの底板のボルト・ナットのさび止め剤を塗る作業でした。この作業は、ボルトなどの油分を確実にふき取る(脱脂)ことが重要です。油分があると、さび止め剤をはじいてしまい「ピンポール(気泡)」ができます。ここがさびれば腐食の原因になり、汚染水の漏出につながる、といいます。

 現場ではこのピンポールをごまかすためにさび止めの厚塗りが指示されました。上地さんは「厚塗りは乾燥に時間がかかり、生乾きで水分が付着するとさび止めが溶け落ちて結局、腐食につながる」と指摘します。

 こんな経験もしました。「冬の雪の日だった。さび止めのほとんどが雪で流された。汚染水漏出の一因となったのではないか」

 人員削減と工期優先は作業員の健康被害をもたらしています。

ひどい耳鳴りに

 上地さんがタンク内で底板のコンクリート角の削り作業(ケレン清掃)をしているときでした。「ガーン、ガーン、ガーン」。突然、タンク上部で始まった、柄が1メートルほどある工事用の大型ハンマーで打ちつける上蓋の組み付け作業。

 「打音は沖縄で聞かされる米軍のジェット戦闘機の爆音よりも長く続き、拷問を受けたような衝撃音に襲われた。耳から脳まで響くすさまじい音で気が狂いそうになった。全面マスクでの作業中で、耳をガードできず、それ以来、ひどい耳鳴りに悩まされている」

 耳鼻科に受診した結果、高音部分が聞こえない「感音性難聴」と診断されました。

 上地さんはいま、元請けの大成建設に労災申請をしています。

 診断書をにぎる手に力をこめて言います。「安倍首相は汚染水漏れについて『状況はコントロールされている』『ブロックされている』といったが、コントロールされているのは原発事故の実態を隠すこと、ブロックしているのは廃炉と再稼働反対を求める国民の声だ」

 (山本眞直)


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