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2013年10月25日(金)

消費税増税に道理なし

雇用破壊やめ賃上げを

参院予算委 小池副委員長が質問

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 消費税増税の中止を、大企業の内部留保を活用した賃上げ対策を――。日本共産党の小池晃副委員長が24日の参院予算委員会で安倍政権の姿勢をただしました。参院選躍進によって倍に増えた質問時間(約50分間)で、国民の願いを届け、打開の道を示しました。


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(写真)安倍晋三首相(左端)に質問する小池晃副委員長=24日、参院予算委

小池氏 「消費税増税はくらしと景気に悪影響与える」

首 相 「賃金にはね返るまで時間差ある」

 小池氏は消費税増税の道理のなさを追及し、中止を求めました。

 小池氏は、それまで増加していた労働者の平均年収が1997年の消費税増税後、15年で70万円も減少したと指摘(グラフ上)。「くらしに深刻な打撃を与え景気に悪影響を与えることは避けられない」として消費税率8%への増税でどうなるのかとただしました。

 安倍首相は「増税で景気が腰折れさせないプランをまとめた」「賃金にはね返るまでタイムラグ(時間差)がある」と述べました。

 小池氏は、97年の増税後、景気悪化や経済対策として行われた法人税減税などにより、増税後の3年間で消費税増収分5兆円を超える11兆円の税収が減り、総額6兆円の減少となった事実(グラフ下)を示し、消費税増税を財政健全化のためとする口実は成り立たないと主張しました。

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 小池 今度は(97年のようなことに)ならないと言える根拠はあるのか。

 麻生太郎財務相 97年のときは、法人税は制度で下げた。それから、この時は金融危機が起きた事が大きな現象だ。

 小池氏は、「今度も首相は法人税の実効税率の引き下げを主張している」と批判。金融危機との関連では、安倍首相のブレーンである浜田宏一内閣官房参与も「増税の影響を認めないのは科学的と言えない」と述べていると指摘しました。

 そのうえで小池氏は消費税が低所得者ほど重い負担となる「逆進性」の根本問題をただしました。年収300万円未満の家計の負担率と1000万円以上の家計の負担率の差が拡大するとした、みずほ総合研究所の調査を提示しました。

 小池 税率が上がれば上がるほど逆進性が強まる。貧困と格差をますます拡大させていく。こんな道を進んでいいのか。

 首相 逆進的との指摘があるが、消費税の税収は社会保障財源化する。引き上げにあたっては、簡素な給付措置など対応を講じる。

 首相の紋切り型答弁に対し、小池氏は8兆円の増税のうち社会保障充実にまわるのは5000億円のみで、一方で社会保障の負担増と給付減が待ち受けていると指摘。簡素な給付措置についても、「給付は1年半に一度、1万円だけで、ひと月で555円、ワンコインだ。とても逆進性を解消するようなものではない」と強調しました。

 小池氏は、応能負担・生計費非課税が税の大原則であり、それに最も反する消費税の増税は「やるべきでない。許されない」と中止を迫りました。

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首相 「復興法人税廃止分は賃金に還元」

小池 「論拠なし。廃止を撤回せよ」

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 怒りを呼んでいる復興特別法人税廃止。小池氏は、「所得税は25年間、住民税は10年間増税が続くのに、黒字企業しか払えない法人税だけ打ち切るというのは、あまりに理不尽で不公平ではないか。国民の納得が得られると思うか」と迫りました。

 安倍首相は、「経営者のみなさんに、(増税廃止分が)賃金に還元され、消費が増え、企業の収益が上がるといういい循環に入ることが日本全体のためという共通の認識をつくっている」と、法人税減税が賃上げにつながると主張しました。

 小池氏は、ロイターの企業調査(別項)で「復興特別法人税を廃止した場合何に使うか」という設問への回答は、「賃上げ」、「雇用拡大」に使うがわずか5%で、反対に「内部留保」が30%と最も多い事実を突きつけ、賃上げに回る論拠がないことを指摘しました。

 岩手、宮城両県の視察を踏まえ小池氏は、政府が打ち切った被災者の医療、介護の減免制度の復活を望む声が大きいと紹介。減免制度復活に必要な予算額はいくらかと質問しました。

 田村憲久厚労相 市町村国保と介護保険で641億円。被用者保険等を含めれば計1008億円になる。

 小池 負担減免に国保、介護で641億円。社保も含めれば1000億円。一方でなぜ9000億円の復興特別法人税を打ち切るのか。

 復興施策は住宅再建支援金の引き上げ、(中小業者向けの)グループ補助拡充など、やるべきことがたくさんあると提起した小池氏は、復興特別法人税廃止の撤回を求めました。

小池氏 「賃上げに内部留保の活用 財界に要求するべきだ」

首 相 「私からもお願いさせていただく」

 「法人税減税を賃上げにつなげる」と安倍首相は繰り返しています。本当につながるのか。小池氏は、財務省・法人企業統計の数字を示し正反対だと迫りました。

 統計(グラフ参照)では、法人税減税を繰り返した結果、1997年度から2012年度まで働く人の賃金は減り、大企業の内部留保は130兆円増加しています。法人税減税分はもっぱら内部留保、株主への配当、役員報酬に回ったのです。

 小池 これがこの間の経過、歴史だ。政労使会議で(私たちの)呼びかけに応えて“賃上げを”と政府が言ったことは率直にいってよかったが、もう一歩踏み込んで、“賃上げのために内部留保を活用しよう”となぜ言わないのか。

 首相 麻生(太郎)財務大臣から、“政府としてはやるべきことはやっているから、内部留保も含めてしっかりと対応してもらいたい”という趣旨の発言はされている。企業側もキャッシュ(現金)で内部留保を持っているわけではない。

 小池 総理が政労使会議に出ているのだから、“内部留保を活用しろ”と総理に言っていただきたい。

 首相 私からもお願いをさせていただきたい。

 小池氏は、内部留保を全部取り崩せなどとは言っていないと指摘しつつ、大企業では、内部留保の1%を取り崩すだけで8割の企業で月1万円の賃上げが実現でき、非正規社員の賃上げもできると提案。「米倉(弘昌日本経団連会長)さんに総理が自ら“内部留保を活用して賃上げするときだ”といっていただきたい」と重ねて迫りました。

 小池氏は、中小企業への抜本的な支援とあわせて、最低賃金を時給1000円以上に引き上げることも「ぜひやろうじゃないか」と呼びかけました。

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首 相 「雇用の弾力化で雇用が拡大する」

小池氏 「非正規増やす政策をやめ人間らしい雇用こそ」

 「ブラック企業」がはびこる背景にあるのは雇用破壊だ―。小池氏は、党が国会に提出した「ブラック企業規制法案」の早期成立を政府・全会派に呼びかけたうえで、“非正規雇用の増大が賃金低下の原因だ”と繰り返し指摘してきた政府の「労働経済白書」(別項)を示しました。

 小池 非正規雇用者の増大が、賃下げの大きな原因になっているという認識か。

 首相 (非正規雇用の)労働条件は正規より悪いわけで、改善しなければならない。

 そう認める首相に小池氏は、▽派遣労働や有期雇用の拡大▽「限定正社員」や解雇の金銭解決▽裁量労働制の拡大や残業代ゼロなど、「改善」どころか非正規雇用を増やす政府の「雇用の規制緩和」プランを突きつけました。

 小池 政府の賃上げ政策は「気合」だけ。非正規雇用拡大メニューが満載だ。これで賃上げが実現できるのか。

 首相 雇用の弾力化によって雇用が拡大する。決して非正規労働者を増やしていくことではない。

 非正規雇用の労働者がどんな状況に置かれているのか。小池氏は、人間をモノのように扱う実態(別項)を示しました。

 小池 働く人を「鮮度が落ちた」などと言って切り捨てるような社会でいいのか。

 首相 そういう社会でいいとは思わない。

 小池 労働者の一番の願いは「人間らしく働きたい」ということだ。それに応えないといけない。

 首相は衆参の本会議で「若者応援企業宣言事業」の活用を言明しています。この日の質疑でも田村憲久厚労相は、「事業」の対象は、正社員の求人をハローワークに提出した企業だと明言しました。

 小池氏は「(政府は)正社員の求人が『若者応援』だと言っているのになぜ、非正規雇用拡大の政策ばかりを打ち出すのか。正反対の『若者使い捨て宣言』だ」と批判しました。

 首相も参加したG20サミット首脳宣言(9月)は「質の高い雇用を通じた成長」や「非正規雇用を減少させる」とうたっていると小池氏は示し、首相に迫りました。

 「質の高い雇用こそ安定した雇用につながる。人間らしい雇用こそまともな社会になる。これが世界の流れだ。この方向で雇用政策の抜本転換を求める」

「非正規雇用拡大が賃金低下の要因に」

 【労働経済白書抜粋】

○平成23年度版
「相対的に賃金水準の低い非正規雇用者の割合が増加することは、労働者の平均賃金を低下させることになるが、1990年代後半から2000年代前半にかけての賃金の大きな低下要因となった」
○平成24年度版
「非正規雇用者比率の上昇が賃金の減少の最大の要因となってきた」
○平成25年度版
「現金給与総額の低いパートタイム労働者の比率の上昇が一貫して現金給与総額の減少要因となっている」

8年働いて「店の鮮度が落ちる」と解雇

 カフェ・ベローチェ(シャノアール)で働いていた29歳女性=首都圏青年ユニオン組合員=のケース

 ▼2003年にオープニングスタッフとして働き始め、時給840円で、店長とほとんど同じ仕事をしていた。正社員よりはるかに少ない給与、ボーナスも各種手当もなし。正社員の店長が1、2年でかわる店を支えてきた。

 ▼3カ月更新の契約を30回以上重ね、8年間働いたが、突然「契約更新できない」と通告される。「働き続けたい」と会社に訴えたら、「定期的に従業員が入れ替わり若返った方が良い。会社ではこれを“鮮度”という。従業員が入れ替わらないと店の鮮度が落ちる」と人事部長に言われる。


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