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2013年10月23日(水)

読者の質問に答えます

消費税に「輸出戻し税」って?

輸出大企業 下請けに消費税分値引き強要なら払ってない分まで懐に

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 読者から「輸出大企業は消費税の還付を受けていると聞くが、どういう制度なのか」という質問をいただきました。


 事業者が輸出を行った場合、仕入れ段階で支払った消費税を還付する制度があります。これは俗に「輸出戻し税」とよばれています。

 付加価値税など消費税と同様の税を導入している国は、日本以外にもあります。消費税を「輸出品に課税しない」ことが国際的なルールです。輸出品に課税しないのは、海外の消費者から消費税をとることはできないというのが理由です。

 輸出に消費税を課さない場合、輸出業者は仕入れの際に払った消費税分が「損」になってしまいます。その分を税務署が輸出業者に還付する仕組みになっています。「輸出戻し税」の還付は、大企業に限らず、輸出を行うすべての業者が受けることができます。

仕入れ税額控除

 法律上、消費税を「負担する」ことになっているのは消費者です。一方、実際に税務署に「納める」のは事業者です。生産、流通、販売などの各段階の事業者が税務署に納める税額相当分を確保するのが「仕入れ税額控除」です。これは「販売時に受け取ったとされる消費税」から「仕入れにかかった消費税」を差し引いた額を納税する仕組みです。

 図1は、メーカー(製造業者)が5万円で出荷し、卸売り、小売りを経て10万円となった商品を消費者が購入すると想定した取引を示しています。

 商品用の原材料製造業者がメーカーに2万円の原材料を、2万円の5%、1000円の消費税を上乗せして2万1000円で売ります。原材料製造業者は受け取った消費税1000円(A)を納付します。

 メーカーは2万円で仕入れた原材料を加工して5万円で卸売業者に出荷します。その際5万円の5%、2500円の消費税を上乗せして売ります。メーカーが納める消費税額は、卸売業者から受け取る2500円から仕入れ時に負担した1000円を差し引いた1500円(B)です。

 卸売業者は5万円で仕入れた商品を7万円で小売業者に売ります。そのとき7万円の5%、3500円を上乗せして売ります。卸売業者が納付する消費税額は、3500円から2500円を差し引いた1000円(C)です。

 小売業者は7万円で仕入れた商品を10万円で売るとき、5%、5000円を上乗せして消費者に売ります。小売業者の消費税納税額は、消費者から受け取る5000円から仕入れ時に負担した消費税3500円を差し引いた1500円(D)です。

 消費者はこの商品の購入時に5000円の消費税を負担します。

 この取引に関わった事業者(原材料製造業者、メーカー、卸売業者、小売業者)が各段階で納めた消費税額の合計(A+B+C+D)5000円は、消費者が負担した5000円の消費税でまかなわれているという考え方です。国税庁はこの仕組みをもって「消費税による事業者の負担は生じない」としています。

 輸出の場合、海外の消費者からは消費税をとらないルールなので、事業者は10万円しか受け取ることができません。しかし仕入れ段階で3500円の消費税を卸売業者に払っているのでその分が損になってしまいます。この「3500円」分を還付するのが「輸出戻し税」です(図2)。

身銭切る下請け

 一部の大企業は取引の実態として、中小企業や下請けに対して納品の際に「消費税分を安くしろ」などと単価を買いたたく場合があります。国内販売が中心であれば、下請けに払わなかった消費税分も販売価格に転嫁され、その分を懐に入れることができます。輸出大企業の場合は、下請けに「払わなかった」消費税分まで税務署から還付されます。問題は、消費税の還付制度そのものにあるのではなく、大企業が下請けに消費税分を押し付けていることにあります。

 大企業が下請けに消費税分を押し付けている場合、この「輸出戻し税」は下請けが身銭を切って負担した税金です。大企業が消費税を下請けにきちんと払うようにさせ、下請けの負担をなくすことが重要です。

図

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