2013年10月21日(月)
南欧 労組反撃
イタリア 仕事は基本的な権利
ポルトガル 内閣の総辞職を要求
欧州では各国で来年度予算案が発表され、議会審議が本格化する中、とりわけ厳しい財政再建策を強いられている南欧諸国で、新たな緊縮政策に対する労働者の反撃が広がりつつあります。19日にはイタリアとポルトガルで抗議行動がありました。(パリ=浅田信幸)
ローマからの報道によると、イタリアでの行動は独立労組コバス(基礎委員会)や共産主義再建党などが呼び掛け、約7万人が参加。失業やさまざまな社会給付の削減、膨大な費用のかかる高速鉄道建設計画などに反対の声をあげました。コバスのベルノッキ書記長は「われわれは国を屈服させる緊縮策に抗議する」と強調しました。
ユーロ圏第3の経済力を持つ同国のレッタ大連立政権は17日、財政赤字削減のため、公務員賃金凍結などの措置を含む予算案を発表したばかり。25歳未満の若者の失業率は40%にも達しており、デモに加わった若者は「きょうの抗議行動は、賃金の支払われる仕事という基本的な権利を要求するためのものだ」と語っています。
議会での予算審議も始まっており、労働総同盟(CGIL)ら3大労組も近く全国規模の抗議行動を計画中だと伝えられます。
スペインやギリシャ計画
ポルトガルでは19日、リスボンと同国第2の都市ポルトで最有力労組、労働総同盟(CGTP)が呼び掛け、政府の新たな緊縮策に反対し、内閣総辞職を要求するデモと集会がありました。リスボンの集会には数万人が、ポルトでは5〜6万人が参加したといいます。
同国のコエリョ保守政権は15日に来年度予算案を発表。財政赤字削減のため、公務員の賃金と年金をそれぞれ最大12%、10%削る案を盛り込みました。
CGTPは「搾取と貧困化に反対、内閣総辞職」を正面に掲げて行動を提起。リスボンの集会参加者は「ウソつき政権は去れ」「国民は怒っているぞ」などと叫び声をあげました。
ポルトガルでは11月1日にも全国規模の抗議行動が予定されています。スペインでは今月24日に予算削減の最大の標的にされている教育分野でゼネストを予定。ギリシャでは最大の民間労組、労働総同盟(GSEE)が11月6日に緊縮政策反対の24時間ゼネストを呼び掛けています。