2013年10月10日(木)
15年 共同体実現へ議論
ASEAN首脳会議開催
【バンダルスリブガワン=松本眞志】第23回東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が9日、議長国ブルネイの首都バンダルスリブガワンで開催されました。会議では、2015年までの「ASEAN共同体」実現の進展状況を中心に議論が行われました。
|
ASEANは、15年に「経済共同体」「政治・安全保障共同体」「社会・文化共同体」から成る「ASEAN共同体」を発足させる予定。会議では、(1)共同体構築に向けた交通網など基礎インフラの整備による「連結性強化」(2)共同体発足後のビジョン(3)災害対策や水管理といった国境を越えた問題での協力―などを討議しました。
レ・ルオン・ミンASEAN事務局長は会議前、首脳会議は「今年がASEAN共同体の設立にとってきわめて実りある年であることを示すだろう」と語りました。
会議では、共同体発足後のビジョン構築に関する作業部会の設置が合意され、これを承認する合同文書を採択。南シナ海や朝鮮半島、シリアの化学兵器など地域・国際情勢も議題に上りました。
首脳会議に続き、この日はASEAN側と日本、韓国、中国、米国とそれぞれ会談が行われました。このなかでは、南シナ海の領有権問題でASEANの一部の加盟国と対立してきた中国の動向が注目されました。
中国の李克強首相は会議前、「中国とASEAN諸国は協議を重ねて合意に達した。われわれがこの合意に関与し続け、相互に合意した原則に従うかぎり南シナ海域は平和と安定を維持することになる」(ブルネイ紙ボルネオ・ブレティン8日付)と語り、「南シナ海行動規範」(COC)策定に前向きの姿勢を示しました。
10日には、ASEANプラス3(日中韓)と東アジアサミット(ASEAN側と日米中など8カ国が参加)が行われます。
南シナ海行動規範(COC) 東南アジア諸国連合(ASEAN)と中国が2002年に合意した南シナ海行動宣言(DOC)を発展させて、これに法的拘束力を持たせるもの。DOCには領有権紛争の平和的解決、事態を悪化させる行為の自制、協力事業の推進などが明記されています。