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2013年10月6日(日)

奨学金

文科省 給付制導入先送り

運動受け無利子枠は拡大

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 文部科学省は奨学金のあり方などについて有識者による検討会の「中間まとめ」(8月30日)を発表しました。高額の教育費に苦しむ学生と父母の願いに応えるものなのか。

 (丹田智之)


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(写真)政府の奨学金事業を行う日本学生支援機構=9月26日、東京都新宿区

 「奨学金は借りるものではなく、もらえるものであってほしい」と語るのは東京都内の国立大学3年生の加藤友志さん(21)です。

 家賃と学費以外の生活費は、日本学生支援機構から出る月5万円の有利子奨学金でまかなっています。卒業後には利子60万円を含め、300万円の返還を求められることになります。

 「日々の生活費の上、教科書代もかかるし、研修や実習も全て実費です。幼い頃からの貯金を取り崩してもギリギリの生活です」と話します。

「負担に感じる」

 4589人を対象に行ったアンケート(2012年、全日本学生自治会総連合)によると、65%の学生が学費を「負担に感じる」と回答しています。日本学生支援機構の奨学金返還対象者の1割以上が滞納者です。卒業後も安定した職に就けず、奨学金返済に苦しむ実態は深刻な問題です。

 文科省の「中間まとめ」は、「有利子奨学金の拡大に頼ってきた」「多額の借り入れとなり、返還の負担が極めて重くなる」と奨学金制度の不備を認めつつ、今後の方向性としては「無利子奨学金の拡充」「延滞賦課率の見直し」などにとどまっています。

 給付制奨学金の導入については「先進諸国ではほとんどの国で実施されている」としながらも「高等教育における重要な課題」と先送りされています。導入する場合も「優秀な成績を修めた学生へのインセンティブ(報奨)とする」と背を向けています。

 日本政府は、国際人権規約にある「中等教育、高等教育の漸進的無償化条項」の留保を昨年9月に撤回しました。「中間まとめ」でも「学生等の学びを社会全体で支えることが極めて重要である」としています。

共産党が求める

 日本共産党の宮本岳志衆院議員は4月1日の国会質問で給付制奨学金導入や有利子奨学金の無利子化を求めました。下村博文文科相は「真に困窮している方への適切な対応を考える時期」と答えました。

 2014年度予算の概算要求では大学等の奨学金貸与人数を147万3千人(前年比3万人増)と、有利子枠が4万人減らして、無利子枠を7万人拡大しました。奨学金の返還猶予年数の延長や利子負担軽減が盛り込まれたことは、世論と運動に押されたものです。


今こそ導入の決断を

日本学生支援機構労組中央執行委員長 藤井和子さん

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 公的奨学金は、家庭にお金があろうとなかろうと、同じ環境で学ぶことを保障するためにあります。その趣旨からみても、貸与制しかないというのは大問題です。

 返還額も以前と比べるとかなり大きくなり、卒業後も学生の首を絞めることになっている現状は放置できません。返還を免除するなどの改善策も必要と考えます。

 そもそも奨学金の原点は給付制です。文科省は貸与制を維持するというところから抜け出せていません。「教育は国が保障する」という原点に立ち返って、給付制を導入する決断を今こそ行うべきです。


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