2013年8月21日(水)
厚労省研究会 派遣法大改悪へ報告書
派遣先企業の規制を撤廃
労働者派遣法の改定にむけて議論していた厚生労働省「今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」は20日、報告書をまとめました。
報告書は、「常用代替防止」(正社員を派遣に置き換えてはならない)という現行法の考え方を、「根本から再検討することが必要」と全面的な見直しに言及するなど、大改悪を提起しています。
派遣期間の制限については、「業務」が専門的か否かで区分する現行規制を撤廃し、労働者「個人」に転換することを主張。労働者が派遣会社と結ぶ雇用契約が有期の場合のみ規制対象とし、派遣期間は原則3年としています。
現行の派遣期間は、通訳など専門的な26業務は制限なし、他の一般業務は原則1年(労働組合との協議で最長3年)です。派遣先企業の職場単位で規制するので、同じ職場に派遣を使えるのは最長3年。労働者を入れ替えても変わりません。さらに、3年を超えて派遣を使いたい場合、派遣先企業は労働者に直接雇用の申し込みをする義務があります。
ところが、報告書では、派遣先企業にたいする規制がいっさいなく、労働者を入れ替えれば、同じ職場に好きなだけ派遣を使い続けることができます。同じ労働者を3年超えて使うことも、労組と協議すれば延長できるとしています。
一方、派遣先企業の団体交渉応諾義務、派遣先企業の正規雇用労働者との均等待遇は、見送られています。
報告書は、政府の「成長戦略」や経団連の提言など、政府・財界の要望に応えた内容です。今後、労働政策審議会で検討し年内に答申、政府は来年、法案を提出する見通しです。