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2013年8月19日(月)

領土紛争を平和解決

カメルーンとナイジェリア

国際司法裁判決を尊重

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地図:カメルーン・ナイジェリア領土紛争

 西アフリカのカメルーンと隣国ナイジェリアとの間で領有権をめぐる紛争が続いていたバカシ半島の主権が15日、完全にカメルーンに引き渡されました。国連安全保障理事会は同日、両国が領土紛争を国際司法裁判所(ICJ)判決を尊重して平和的に解決したことを称賛する声明を発表しました。

 バカシ半島はギニア湾に面する約1000平方キロの地域。石油・天然ガス資源埋蔵が推定されています。

 両国間では、植民地時代から残された領土紛争が、1960年にそれぞれ独立した後も続き、総延長約1700キロにわたる国境線で軍事衝突が繰り返されてきました。

 バカシ半島はナイジェリア管理下にありましたが、81年に両国軍の衝突が勃発。94年の34人死亡の流血事件を受け、両国は国際司法裁判所に提訴しました。同裁判所は2002年10月、1913年の英独条約を根拠にバカシ半島のカメルーン帰属を決定しました。

 両国は国連の仲介で交渉を開始し、2006年6月にグリーンツリー協定に調印。ナイジェリア軍が同年末までに撤退を完了し、08年8月に施政権がカメルーンに引き渡され、5年間の移行期間が始まっていました。

 同半島の人口は季節によって変動、30万人とも4万人ともいわれますが、ほとんどがナイジェリア系漁民。移行期間中の5年間は課税を免除されていました。残留を希望するナイジェリア人は居住許可を取るか、国籍を取得することが義務付けられます。

 同半島から逃れたナイジェリア人の多くはナイジェリア東端のクロスリバー州の収容所で生活していますが、政府の対応をめぐる不満が高まっているといいます。

 また同半島は移行に伴う治安体制悪化により、ナイジェリア沖で襲撃や誘拐事件を繰り返す海賊の根拠地ともなっています。カメルーンは09年から精鋭部隊の同半島への展開を開始しています。(夏目雅至)

 国際司法裁判所(ICJ) 国連の主要な常設の司法機関で、所在地はオランダのハーグ。当事国が提訴した国家間の法律的紛争について判決、命令を出す権限を持ちます。判決の意義・範囲に争いがある場合にのみ当事国は解釈を求めることができます。また国連総会あるいは国連専門機関が法的意見を要請した場合に勧告的意見を出すことができます。裁判官15人は国連総会と安保理の投票で選出されます。


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