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2013年8月5日(月)

派遣法改悪“今が好機”

業界や経団連が策動

厚労相が直々応対

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(写真)田村厚労大臣への要請を紹介する日本生産技能労務協会の機関紙

 自公両党が参院選で過半数となったのを受けて、経団連や労働者派遣業界が労働者派遣法の見直しを求める動きを強めています。田村憲久厚生労働相自らが派遣業界の要請に直々に応じるなど、民意に背いて派遣法改悪に前のめりの安倍内閣の姿勢があらわになっています。

 「派遣適正化プランは直ちに廃止を」「日雇い派遣の原則禁止は削除を」―参院選直後の7月26日、派遣会社でつくる「日本生産技能労務協会」と「日本人材派遣協会」の代表が田村厚労相に直接、要望書を手渡しました。

 直接的な利害が絡む一業界団体の要請を大臣が直接受けるのは異例のこと。田村厚労相は派遣業界の政治団体から献金やパーティー券購入(56万円=09、10年)を受ける間柄。民主党政権時代には、派遣法改定案を「骨抜き」にしてきました。

 派遣業界が廃止を求める「適正化プラン」とは、厚労省による違法派遣の是正指導のこと。「日雇い派遣の原則禁止」は、昨年10月施行の改定法に盛り込まれました。それを1年もたたないうちに廃止せよというのです。

 経団連も24日、見直し要求を発表。「常用代替(正社員を派遣労働者に置き換える)の防止」という派遣法の大原則を廃止し、派遣可能期間の延長など派遣労働をいつまでも使い続けられるようにせよと求めました。

 財界や派遣業界は、「労働者派遣制度の見直し」「民間人材ビジネスの活用」(再興戦略)を掲げる安倍政権が衆参両院で過半数となったことで、身勝手な要求を強めています。

 「民主党政権では誤った“政治主導”で苦しめられた。自公政権に戻った今がチャンスだ」と派遣会社は異口同音に語っています。

 派遣業界は自民、公明をはじめ民主、みんなの議員とも献金などで結びついており、派遣法の規制緩和に向けた策動を加速させています。

派遣法の改悪 解雇自由化とセット

前のめり安倍内閣

 派遣法をめぐっては、リーマン・ショックが吹き荒れた08年、仕事も住まいも失う「派遣切り」が社会問題となり、抜本改正を求める世論が高まりました。

 民主党政権は「製造業・登録型派遣の原則禁止」を打ち出しましたが、自民、公明両党と談合して法案から削除。労働者・国民の改正の願いは骨抜きにされてしまいました。

 今度は安倍政権のもとで、その「骨抜き改定」さえも取り払い、不安定で低賃金の派遣労働を自由に続けられるようにしようとねらっています。

 すでに議論をすすめている厚労省の研究会は8月上旬に派遣法見直しの報告書をまとめる予定。それを受けて労働政策審議会で議論を始め、来年の通常国会で見直し法案の成立をねらっています。経団連はその労働政策審議会メンバーです。

 派遣業界が安倍政権に期待を寄せるもう一つが、「民間人材ビジネスの活用」です。

 安倍政権は「雇用維持型から労働支援型への転換」を掲げ、労働法制の規制緩和で解雇をしやすくする一方、失業に追い込まれた労働者を非正規雇用などで移動させる方針。そのため派遣会社などにカネを出して「再就職支援」をやらせる計画です。国のハローワークが集めた求人・求職情報を人材ビジネス会社に提供するなど至れり尽くせりの支援を行おうというのです。

 「現在、雇用維持に使われている雇用調整助成金は1000億円以上。これを労働移動支援助成金に回せば、人材派遣会社にそのカネが回ってくることになる」(派遣会社幹部)。解雇・失業は金もうけのチャンスだといってはばかりません。

 今年1月、日本生産技能労務協会の会員交流会に出席した田村憲久厚労相は、「今夏には(法改定の)メドをつけたい。協会には若者を中心としたキャリア形成に力添えをいただきたい」とエールを送っており、この分野でも民意にそむく安倍内閣の暴走があらわになっています。

労働者派遣法をめぐる動き

1985年 労働者派遣法の制定 適用対象は13業務
  99年 対象業務を原則自由化(製造業などは禁止)
2003年 製造業への派遣を解禁
  08年 「派遣切り」が社会問題に
  12年 自公民3党が派遣法改定案から「登録型・製造業派遣の原則禁止」を削除。「日雇い派遣の原則禁止」などを盛り込んだ改定案が施行


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