2013年8月1日(木)
カンボジア総選挙で野党
不正申告所を設置
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【プノンペン=面川誠】7月28日に行われたカンボジア下院総選挙(定数123)で躍進した野党・カンボジア救国党は31日、首都プノンペンと全国23州に選挙不正申告所を設置しました。今後の抗議運動の拠点となる役割を果たします。政府は30日、野党や民間団体が求めている選挙調査委員会の設置を拒否し、早期の新国会開会を呼び掛けました。
プノンペンの申告所には約500人の有権者が訪れ、有権者名簿に自分の名前が記載されていなかった例や、自分の名前を使って他人が投票した例などを訴えていました。
選挙管理委員会が28日に発表した暫定開票結果では与党・カンボジア人民党が68議席、救国党が55議席。申告所を訪れた救国党のサム・レンシー党首は、「得票数の差はわずか20万票。大規模な不正を考えれば、われわれが勝利している」と強調しました。同党首は30日、救国党が63議席を獲得したと主張しています。
選管は8月10日までに最終開票結果を発表する予定。申告所を訪れた市民の一人は、「暫定結果と変わりない発表だった場合、国民の反発が噴出する。全国で国民が立ち上がれば、政府も押しとどめることはできない」と興奮気味に語りました。
フン・セン首相の動静は投票日以降、いっさい伝えられていません。現地紙の編集幹部は、「救国党の得票は与野党の予想をはるかに上回った。救国党が勢いづいている一方、人民党内部は今後の指導体制についての意見がまとまっていない」と指摘します。
人民党指導部を構成するフン・セン首相、チア・シム党議長(上院議長)、ヘン・サムリン名誉議長(下院議長)が担当した選挙区は、いずれも救国党が勝利。人民党内部では指導部への不信感が強まっているといいます。
サム・レンシー党首ら救国党幹部は、在プノンペン米大使館と頻繁に接触を繰り返しています。米国は救国党と同様に選挙過程の調査を要求するなど、カンボジア政府への圧力を強めています。