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2013年8月1日(木)

主張

派遣法の見直し

労働者を保護する抜本改正を

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 安倍晋三政権が「企業が世界で一番活躍しやすい国づくり」のために重視している雇用の「改革」で、真っ先に手をつけようとしているのが労働者派遣制度の見直しです。秋口から厚生労働省の労働政策審議会で議論し、年内に結論を出して法案化する異常なスピードで強行しようとしています。

 派遣労働がいかに非人間的な働き方かは2008年秋のリーマン・ショックによる大量「派遣切り」によって、多くの国民の目に焼きついています。派遣労働は、労働者を保護する方向での見直しこそ必要で、財界がめざす使い捨て自由化の拡大は許せません。

法の根幹破壊ねらう

 経団連は、参院選直後に労働者派遣制度についての見解を出しました。安倍政権が「日本再興戦略」でかかげている「失業なき円滑な労働移動」を実現するためには労働者派遣制度の見直しが重要だという主張です。

 このなかで派遣労働法の根幹である「常用代替防止(正社員に代わって派遣を使ってはならない)」の原則の廃止、事務用機器操作など政令で指定されている「専門26業務」の付随業務を1割以内としている規制の見直し、自由化業務は期間上限を現行の1年から3年に延長する、派遣先の正社員との「均衡処遇」は困難とするなど、自分勝手な考えを並べています。

 労働者派遣法は昨年、派遣労働者を保護する抜本改正を求める世論と運動に押されて、不十分ながら改定されました。このなかで違法派遣があった場合、その派遣労働者を派遣先企業に直接雇用されたとみなす「みなし雇用」制度が導入され、また最も非人間的な扱いだと批判された「日雇い派遣」も、不十分ですが「原則禁止」されました。経団連は、これについても強い調子で廃止、撤廃を要求しています。

 政府の「日本再興戦略」はほぼ経団連の要求にそっており、この方向で法改定することになれば、企業は正社員を減らし、労働コストの引き下げと景気の調整弁として使い捨てできる派遣の導入に急速に向かいかねません。派遣をふくむ非正規雇用が2000万人を超えた日本の雇用不安がさらに深刻化することは明らかです。

 労働者派遣制度は、一時的・臨時的な専門労働者の必要性に対応するためにつくられたものです。恒常的に労働者が必要な業務ならば、正社員を雇用して対応するのが当たり前です。「常用代替防止」という原則を壊して、恒常的な業務に派遣を導入しようというのは、安上がりの労働力を確保さえすれば労働者の生活はどうなってもかまわないというもので、あまりに身勝手すぎます。

抜本改正への共同を

 政府、財界のこうした動きを許さない運動の強化が急がれています。派遣労働は、一時的・臨時的業務に限り、「常用代替防止」の原則を断固として守らせなければなりません。そして昨年の改定派遣法で不十分だった製造業務派遣の禁止、登録型派遣も業務をきびしく制限するべきです。派遣先企業の正社員との均等待遇、派遣の受け入れ期間の上限を1年とし、違法があった場合は、派遣先に正社員雇用されたとみなす規定の改善など、派遣法の抜本改正を求め、「正社員が当たり前」の雇用に向かって共同を強めるときです。


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