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2013年7月27日(土)

♪ナンバーワンにならなくてもいい♪

SMAPのヒット曲

この歌が子どもをダメにする!?

安倍政権「教育再生」メンバーの危険な持論

強制頼みの教育観 ゆがんだ歴史認識

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 アイドルグループSMAP(スマップ)の大ヒット曲『世界に一つだけの花』が「日本の子供たちをダメにしている」―。こんな持論の持ち主が、「教育再生」のブレーンとして安倍晋三政権の重要ポストに就いています。安倍政権の危険な本質が見えてきます。(下渕雅史、浜島のぞみ)


 著書でSMAPのヒット曲を攻撃しているのは八木秀次氏。安倍政権に教育提言を行う「教育再生実行会議」のメンバーです。「新しい歴史教科書をつくる会」元会長で、「自虐史観によらない教科書」の出版と採択を進めました。過去の日本の侵略や旧日本軍「従軍慰安婦」への軍の関与を認めた「河野談話・村山談話」が「歴史教育を大きく反日自虐的な方向」に向かわせたと主張し、「安倍首相はそのような歴史認識と敢然と戦う政治家」と首相を賛美する“思想的同志”です。若者を戦場に駆り立てた戦前の「教育勅語」の「精神を復活させる」宿願を語っています。

根底に「べっ視」

 八木氏の“教育哲学”は、「教育には何らかの強制が必要であり、子供たちの意思だけに任せていたのでは、とても成り立たない」という“子どもべっ視”に基づいています。子ども自身の内面にある真実や成長への渇望に目を向けない立場です。そこから「手を上げてでも言うべきことを言い、するべきことをさせるのが親の愛情」という暴力必要論が派生しています。

 「ナンバーワンにならなくてもいい」と歌うSMAPの『世界に一つだけの花』について、八木氏が「こんな歌を学校で歌わされていたのでは子供たちは何も努力しなくなる」と非難するのも、根っこは同じ。競争という「強制力」に頼らなければ子どもの意欲を保てないという教育観・子ども観の貧困です。

 安倍首相が執念を燃やす「教育再生」は、▽国家による統制の強化▽競争の激化▽事実に反した歴史教育の押しつけ▽国家主義的な教育の徹底をねらう道徳の教科化―などを柱としています。八木氏の“信条”にぴたりと一致します。

「慰安婦」認めず

 安倍流「教育再生」のもう一人の象徴は、安倍政権が今年から中央教育審議会(文部科学相の諮問機関)の委員に加えた櫻井よしこ氏(ジャーナリスト、「国家基本問題研究所」理事長)です。櫻井氏は「日本政府や軍が慰安婦を強制連行した事実はなかった」と主張し、2007年と12年の2度にわたって「歴史事実委員会」の名で米国の新聞に意見広告を掲載。これには安倍首相、下村博文文科相、民主党の北神圭朗氏(元衆院議員)など自民・民主の国会議員が名を連ねました。

 07年の意見広告の目的は、「従軍慰安婦」問題をめぐるアメリカ合衆国下院の対日謝罪要求決議を阻止することでした。しかし決議は採択され、「日本軍が強制的に若い女性を『慰安婦』と呼ばれる性の奴隷にした事実」を「公式に認めて謝罪」し、「歴史的な責任」を負うよう日本政府に求めました。

 櫻井氏は、「体罰は教育です」と主張する「体罰の会」でも講演。「体罰と呼ぶのか肉体的鍛錬と呼ぶのかの違いがあるかと思うが、そういったことをもう一回取り戻さなければならない」と述べています。

 中教審では、道徳の教科化を「スピードアップしないとならない」とさっそくハッパをかけています。

 世界から孤立するゆがんだ歴史認識や、「強制力」頼みの教育観に立脚する安倍流「教育再生」に、日本の未来をまかせられるでしょうか―。

他にもある びっくり語録

櫻井よしこ氏

「体罰は教育」

 「歴史の事実をゆがめてまで日本国を非難する日本人がいて、彼らが日本非難の大合唱を誘導する」「強制連行を示す資料は皆無だったにもかかわらず、軍による強制を認めて謝罪した河野洋平氏や宮沢喜一氏らも同類」『週刊ダイヤモンド』(今年6月15日号)

 「(日本は)東京裁判の判決は受け入れたが、日本憎悪から生まれた同裁判の違法性や価値判断まで受け容(い)れたわけではない」(『週刊新潮』2005年6月16日号)

 「体罰を教育と位置づけるということは肉体的苦痛をさまざまな形で教育の中に取り入れるということだから、それは人間は無限の可能性を与えられていると同時に、無限の存在じゃないということをきちんと教えることだ」(2009年、体罰の会講演)

八木秀次氏

「教育勅語の精神復活を」

「教育や躾(しつけ)には強制力が必然的に伴う」「これが望ましく美しいと考える“型”にはめるのが教育や躾の本質にほかならない」(『国民の思想』)

 「教育勅語そのものの復活は難しいだろうが、そこに書かれていることは普遍的なことなので、新たな形でその精神を復活させることは必要だ」「母性や父性を重視し『良妻賢母』『父親の威厳』を復権します」(『公教育再生』)


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