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2013年7月22日(月)

米国黒人少年射殺事件

無罪評決に全米反発

根強い人種差別 浮き彫り

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 米フロリダ州の黒人少年射殺事件で、殺人罪に問われた白人の被告にこのほど無罪評決が言い渡されたことは、米国に根強く残る人種差別の問題を改めて浮き彫りにしています。また「正当防衛」とされる銃の使用の是非をめぐる議論も始まっています。

 (ワシントン=島田峰隆)


銃使用是非も

 無罪評決が出た13日以来、全米各地で「人種差別だ」と抗議するデモが続いています。参加者は「もし被告が黒人で被害者が白人だったら無罪になっただろうか」と問い掛けています。

 米研究所アーバン・インスティテュートによると、2005〜10年に起きた殺人事件で、黒人が白人を殺害した事件で被告が無罪となった割合は約1%だったのに対し、白人が黒人を殺害した事件では9・5%。フロリダ州のように「正当防衛」で銃の使用を認める法律がある州では約17%に達しました。

 公民権運動団体「全米黒人地位向上協会」(NAACP)の幹部、ゲアリー・ブレドソー氏は16日、米メディアに「評決には人種が影響したと確信している」と主張。同協会が呼び掛けた被告の訴追を求める請願には、2日余りで100万人超が署名しました。

 今年は1963年8月に首都ワシントンで人種差別撤廃を求める大行進が行われて50周年です。しかし6月末には最高裁が、南部州で黒人の有権者登録の妨害を是正する投票権法の一部について初めて違憲だと判断。そこへ今回の無罪評決が続きました。

 米紙ワシントン・ポストのコラムニスト、コートランド・ミロイ氏は同紙17日付で「大行進から50周年の記念の年に合法的に見下されたように感じる」と批判。「黒人は怒り、危機感を持ち、激しいたたかいで勝ち取った自由のいかなる後退も受け入れない。米国とオバマ大統領はこのことをよく理解する必要がある」と指摘しました。

 無罪評決を機に、もう一つ議論の焦点に浮上しているのが「正当防衛法」の是非です。自分の命が危険にさらされていると感じたときに武器を使って守る権利を認める法律で、30州以上が採用しています。

 ホルダー司法長官は16日、「この法律は自衛の概念を不合理に広げ、暴力的な状況を激化させる」と非難。米国のミュージシャン、スティービー・ワンダー氏は「正当防衛法がある州では公演しない」と宣言しました。

 15日付の米紙ニューヨーク・タイムズは社説で「恐怖と人種差別は法律や判決では根絶できないかもしれない。しかしその感情をもっとも殺人的な形で表すことを法律が許したり手助けしたりすべきではない」と強調しました。


 フロリダ州の黒人少年射殺事件 2012年2月、フロリダ州の地元自警団のリーダーだったジョージ・ジマーマン被告が、夜に付近を通りかかった黒人男子高校生のトレイボン・マーティンさんを不審者と思い込んで付きまとい、射殺した事件。同州サンフォードの陪審団は今月13日、ジマーマン被告の正当防衛を認めて無罪評決を出しました。


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