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2013年7月22日(月)

対中・韓外交 参院選後もめど立たず

安倍政権 米国からも“警告”

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 自公政権は25日からの安倍晋三首相による東南アジア3カ国歴訪を皮切りに、早くも参院選後の外交日程を描き始めています(表)。しかし、領土問題や歴史認識をめぐる問題を抱える中国・韓国との外交日程はいまだにメドが立っていません。米国の日米同盟強化派からも警告がなされており、安倍政権の重大な弱点になりつつあります。

尖閣

対中戦略の欠如

 「日本はワシントンに対して、対中政策を説明する必要がある。抑止や説得だけでなく、中国との関係改善を図る保証を示さなければならない」。日米同盟強化派の代表格として知られるグリーン元米NSC(国家安全保障会議)アジア部長は16日、都内の日本記者クラブで講演し、強いいら立ちを示しました。

 さらに、「日韓関係がここまで弱体化したことに、(米国の)民主・共和両党ともに強い警戒感を示している」と述べ、関係改善を強く求めました。

 グリーン氏とともに講演したキャンベル前米国務次官補も中韓両国との関係改善を要求。6月の米中首脳会談で中国の習近平主席が日本への不満を口にした際、オバマ大統領が「(その話は)ここまでだ。日本は米国の同盟国であり、友人だ」とさえぎったことを明かし、米国も日中関係に苦慮していることをうかがわせました。

 米政府は、尖閣諸島は「日本の施政権下にあり、(日米が共同対処する)安保条約5条の適用範囲だ」と表明しています。しかし、「尖閣をめぐる日中間の紛争には巻き込まれたくない」(在日米大使館関係者)というのが本音です。

 それは、米国にとって中国は単純な「敵」でも「味方」でもないからです。

 キャンベル氏は日米中3カ国の関係について、「きわめて微妙な境界線の上を歩いている」と表現しました。

 この微妙なバランスを崩すきっかけになりかねないのが尖閣問題です。

 しかし、安倍首相は尖閣諸島の領有権をめぐり、「(中国との間に)領土問題は存在しない」(16日、石垣市での街頭演説)との立場に固執。このため、尖閣問題での対話を求める中国側との接点を見いだせていません。日本の領有権の正当性を主張することもできず、結果的に中国公船による領海侵犯を許しているという悪循環に陥っています。

 一方、年内に策定される新防衛大綱では、「尖閣防衛」を念頭に自衛隊の「海兵隊化」を検討。軍事だけが突出しています。

歴史認識

靖国参拝を注視

 さらに深刻なのは、歴史認識をめぐる問題です。韓国との外交関係が停滞している直接的な原因であると同時に、安倍政権が米国内で危険視される原因にもなっています。

 なかでも、麻生太郎副総理による靖国神社参拝(4月21日)は米政権を激怒させたと伝えられています。麻生氏がバイデン副大統領と会談した直後(4月19日)だったからです。米議会調査局(CRS)はただちに、安倍政権による侵略戦争・植民地支配の否定や靖国参拝は「米国の利益を損ねる」とした報告書を公表しています。(5月1日)

 参院選直後、内外から注視されているのは終戦記念日の8月15日、安倍首相が靖国参拝するかどうかです。これに関して、グリーン氏はこう述べています。「小泉純一郎元首相の靖国参拝のとき、ブッシュ大統領は公に批判をしないと決断した。しかし、オバマ政権がどう判断するかは分からない」

 安倍政権は日本の市場を全面的に米国に明け渡すTPP(環太平洋連携協定)交渉参加や、沖縄県名護市辺野古への米海兵隊新基地建設を推進するなど、深刻なアメリカいいなり政権です。

 同時に、外交戦略の欠如や侵略戦争・植民地支配を否定する歴史認識により、米国をも含む国際社会との矛盾を生み出しています。

安倍首相・参院選後の主な外交日程
7月25〜27日 東南アジア歴訪(シンガポール、マレーシア、フィリピン)
8月下旬   中東4カ国歴訪(クウェート、オマーン、カタール、バーレーン)
9月5〜6日 G20首脳会談(ロシア・サンプトペテルブルグ)
9月下旬   国連総会
10月7〜8日 APEC首脳会談(インドネシア・バリ)


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