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2013年7月19日(金)

BS11番組 志位委員長語る

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 日本共産党の志位和夫委員長は17日、BS11「本格報道INsideOUT」に出演し、参院選の争点などについて語りました。聞き手は、二木啓孝・BS11解説委員。


終盤の手応えはどうか

新たな期待の広がりを感じるが、結果に結びつけるには頑張りが必要

 二木啓孝解説委員 参院選はもう終盤、ギリギリというところですが、手応えいかがですか。

 志位和夫委員長 街頭で、どこで訴えていても熱いものを感じます。共産党への新たな注目と期待の広がりを感じます。ただ、この期待を、得票と議席に結びつけるには、私たちの頑張りが必要ですから、最後まで力をつくしたいと奮闘中です。

 二木 この前の東京都議選で躍進をして、有権者の期待が共産党に集まっているのかと取材をしていて思うのですが、どう分析しますか。

 志位 安倍内閣の政治が危なっかしいという危機感、不安感がいろいろな分野で広がっていると思います。この不景気のもとで消費税の大増税を強行しようとする。福島の事故が収束していないのに、原発の再稼働にのめりこむ。憲法を変えて戦争をできる国につくりかえる。こういういろいろな動きに多くの方々が危ないという気持ちをもっていると思います。そういうときに、しっかりと対決ができるのが共産党だということがいえると思います。同時に、私たちは、どういう日本をつくるのかという建設的対案を重視して選挙戦をたたかってきました。

 たとえば、アベノミクスに私たちは反対ですが、ではどうするのか。大企業のもっている260兆円の内部留保の一部を活用して、賃上げと安定した雇用を増やすためにあてようと。そういう抜本的対案をどの分野でも示してきました。これも最後までその姿勢で頑張りたいと思います。

「自共対決」にリアリティー感じるが

民主も「第三極」も自民の亜流、霧が晴れ、対決構図がはっきりした

 二木 共産党は今度の選挙を「自共対決」という言い方をしています。私はわりとリアリティーがあると感じるのですが、いままでだと自民党に対するアンチは共産党にいかず、民主党や「第三極」だったが、期待が共産党に集まる。これをどう見ていますか。

 志位 民主党にしても、「第三極」にしても、「自民党の亜流」だということが明らかになったということがあるのではないでしょうか。「自民か、民主か」といって民主党は政権をとりましたが、やったことは消費税増税や辺野古移設やTPP推進など、どれもこれも自民党政治そのものだった。「自民党の亜流」ではないかと。それから「第三極」がでてきましたが、いっていることは、弱肉強食の「構造改革をもっとやれ」、「憲法改定もっとやれ」。これも「自民党の補完勢力」ではないかと。

 いまの政党のなかで、正面から自民党とたたかえる政党は共産党だということが、いわば「二大政党」も「第三極」も廃れる中で、霧が晴れるように見えやすくなって、対決の構図がはっきりしてきたといえるのではないでしょうか。

「何でも反対」「手を組まない」と批判があるが

法案の6割に賛成し、どんな問題でも建設的提案

TPP、原発、憲法 「一点共闘」をさらに発展させる

 二木 選挙の中盤戦以降、自公以外の政党が共産党攻撃をはじめました。「何でもかんでも反対の共産党とは違う」とか、「共産党は手を組まない」という批判が各政党の党首から出てきていますが、どう思われますか。

 志位 これは“ためにする”もので、私たちは、たとえば国会の法案に6割くらい賛成しています。それからどんな問題でも反対だけではなく、建設的対案を一番しっかり示しているのが共産党です。そういう攻撃をするほうが、実は自民党の悪い政治に「何でも賛成」してきた勢力ではないか。

 「手を組まない」という話ですが、私たちは、TPPの問題、原発の問題、憲法の問題、一致点があれば、国会内外でどの勢力とも、「一点共闘」といっていますが、協力関係をつくるという姿勢でやってきたし、現にいろいろな協力の形がすすんできていますので、それも事実と違います。

 二木 一般の人は共産党はガチっとしていて、自分の思うところを突き進むから他の野党と手を組まないというイメージはあるんですよね。

 志位 選挙協力ということでは、6年間の任期の間に森羅万象あらゆることがおこる。そういうときにしっかりとした政策協定がなければ選挙協力はできません。いま実際に(選挙協力を)やっている政党を見ても、増税賛成派と「反対」派が協力したり、憲法改定派と護憲派が協力をやっている。これは有権者に失礼だと思います。選挙は独自にたたかいますけれども、選挙が終わった後の国会では、先ほどいった「一点共闘」で、一致点の協力はどんどんやっていくつもりです。

 二木 政策別、課題ごとには手を組むと。

 志位 どんどんやっていきます。たとえば憲法96条改定。この問題では、この一点で反対する勢力とはすべて協力して、食い止めたいと思います。

アベノミクスの「成長戦略」で景気どうなる

日本社会全体を「ブラック企業」 化するもの

あらゆる政策を総動員し、国民の所得を増やして景気回復を

 二木 もう一度アベノミクスについて聞きたいのですが、冒頭いわれたように強いものが強くなるというものだと思うのですが、「3本の矢」ということですが、「成長戦略」として景気はあがると見ていますか。

 志位 そうは見ていません。安倍首相は、「これから良くなる」といいますが、これから用意されているメニューは何か。たとえば「成長戦略」の名でやろうとしていることは、解雇の自由化――「限定正社員」というものを新たにつくって、「首切り自由」の正社員をつくる。それから、残業代ゼロの拡大――裁量労働を広げていく。それから、派遣労働を、いまは「一時的・臨時的なものに限る」という原則がありますが、これを取り払ってしまって野放図に拡大する。雇用のルールをさらに破壊して、日本社会全体をいわば「ブラック企業」に変えてしまうような方向ですから、とてもではありませんが国民の賃金が上がっていく方向ではありません。まったく逆です。

 それに、来年、再来年と消費税の大増税をやろうとしている。これは13・5兆円で史上空前の増税です。一方で大企業には、「大胆な法人税減税」をやる、庶民には「空前の大増税」というのは、向いている方向が百八十度、間違っているし、この道をすすんだら暮らしも経済も財政も、全部ダメになります。

 私たちは、「国民の所得を増やして景気回復を」とさきほどもいいましたが、大企業の内部留保の一部を使って賃上げや安定した雇用に振り向ける。中小企業の下請け単価を適正なものに引き上げる。最低賃金を中小企業の支援をしっかりやりながら時給千円以上に引き上げる。労働者派遣法を抜本改正して「雇用は正社員が当たり前」の社会をつくる。こういうワンパッケージの国民の所得を増やす対策を、政策を総動員してやって、景気を良くしようという対案を掲げています。

首相も大企業の内部留保活用を認めたが

やっていることは内部留保を増やすことばかり、一部を活用し賃上げをはかれ

 二木 安倍さんは、260兆の内部留保からどんどん賃金に出してほしいという主張は共産党と一緒なんだと妙な共闘を申し込まれてたんですが。(笑い)

 志位 この前、NHKテレビの党首討論で、私が内部留保の話をしましたら、「企業の内部留保が多すぎるという点では、志位さんのいう通りだ」ということをいいました(笑い)。しかし、面と向かって経済界に対して、「内部留保を活用して賃上げを」ということを迫ったかというと、そういうことはやってませんよね。そこまでいうのだったら、それをしっかりやるべきだと思います。

 内部留保を社会に還元させようと思ったら、雇用のルールを強めなきゃいけない。さきほどのべたように、労働者派遣法を抜本改正する、均等待遇のルールをつくる、雇用のルールを強めなきゃならないのに、逆に雇用のルールを壊す方向に行っています。これは内部留保がさらにたまっていく方向ですね。いっていることとやってることが違いますね。

 二木 たぶん安倍さんの考えは、企業が収益をあげて全体のGDPが増えて、そういうのを引っ張っていくことによって、何年か後に多少ラグ(遅れ)があるけれども賃金は上がるよと。たぶんそういうイメージなんでしょうけど。

 志位 いわゆる「トリクルダウン」ですね。大企業が潤えばいずれは家計に回るだろうと。しかし、小泉・安倍政権の時代に、「史上最長の景気回復」といわれた時期があったでしょう。あのとき大企業は大もうけをあげた。しかし、雇用者報酬はあの時期、全体で14兆円減っているんですよ。大企業がもうけをあげたけれども、賃金は減り続け、内部留保にたまってしまった。「トリクルダウン」は成り立たないということは、自分たちのやった政治でも証明されています。

 二木 そういう意味では、1回もう実証ずみの話だっていうのが、共産党のお立場ということになりますね。

 志位 「トリクルダウン」はうまくいかない。だから直接、大企業が持っている260兆円の内部留保を――全部使えなんていいませんよ、そのなかには設備投資のような形として存在するものもあるわけですから――、ただ、現金・預金などすぐに使えるものだけを見ても、数十兆円あるわけですから、全体の1%を活用しただけで8割の大企業で月額1万円の賃上げができるわけですから、これをやらせようじゃないかということを提案しております。

社会保障をどうする

消費税に頼らず、(1)富裕層・大企業の応分負担、(2)所得税累進課税強化など2段階で財源を確保しつつ、再生・充実をはかる

 二木 共産党の主張で1%で月額1万ということになると、内部留保がいかにべらぼうにたまっているのかが逆に見えてくるということになるのですが。

 もう一つおうかがいしたいのは、社会保障の話です。去年の夏に消費税を上げるということで、「税と社会保障の一体改革」ということになったのですが、自民党はあまり社会保障に言及してないように見えるんですが。

 志位 これは「骨太の方針」を出して、そのなかで「社会保障も聖域なく削っていく」と。年金の給付の切り下げ、医療費の窓口負担の増大、あらゆる面で削っていくというのが政府のメニューなので、これを隠したまま選挙をやるというのはフェアじゃないと思うんですね。

 私たちは、社会保障については、消費税に頼らずに2段階で拡充する道があると提案しています。

 第1段階は、小泉政権の時代に壊された社会保障を再生していく。たとえば、医療費の窓口負担を軽減する。年金は減らない年金にする。特養ホームや保育所の待機者をなくしていく。こういう改革をやる。この改革にかかる財源は、無駄の一掃と、富裕層と大企業に応分の負担を求める税制改革などでまかなう。

 そして第2段階として、最低保障年金導入などヨーロッパ水準の社会保障への拡充を方針として掲げていますが、このときには、所得税の累進課税を強化して、国民全体が力に応じて支えるというプランを出しております。ぜひ、このプランの方向で、社会保障を切り捨てから拡充へチェンジしたいと思っております。

 二木 私、共産党って、強烈な反対ということだったんですが、最近、「政策提言型」になってきたのかなというふうに思えるんですが、これは有権者の判断だということですね。

 志位 「対決と提案」、両面でやっていきたいと思います。

 二木 ありがとうございました。

 志位 ありがとうございました。


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