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2013年7月18日(木)

エジプト暫定内閣が発足

ムスリム同胞団、入閣せず

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 【カイロ=小泉大介】軍によりモルシ前大統領が解任されたエジプトで16日、ベブラウィ首相率いる暫定内閣が就任宣誓し発足しました。同日に組閣が完了した新内閣は、各分野の専門家が中心の「実務型」となりました。首相はモルシ氏の復職を求めるイスラム主義組織・ムスリム同胞団にも入閣を求める姿勢を示していましたが、同団は拒否しました。

 マンスール暫定大統領は16日夜、エルバラダイ副大統領も出席のもと、最初の閣議を開催し、移行期間における政府の役割に加え、経済、治安対策など当面の優先課題について協議しました。

 暫定内閣は首相を含め34人で構成。シシ国防相(軍最高評議会議長)とイブラヒム内相は前モルシ政権から残留し、シシ氏は第1副首相も兼任することになりました。外相には駐米大使を9年間務め、駐日大使の経験もあるファハミ氏が、財務相には首相と同じエコノミストのガラル氏が就任し、女性とキリスト教徒は過去最多となるそれぞれ3ポストを得ました。

 一方、ムスリム同胞団報道官は16日、「新内閣に参加することを拒否する。同内閣は軍の戦車によってもたらされたものだからである」と改めて表明。軍によるモルシ氏解任に賛成したイスラム厳格派の「光の党」も入閣は受け入れませんでした。

解説

軍の影響どう抑えるかが課題

 エジプトで16日に発足した新内閣は、マンスール暫定大統領のイニシアチブのもと、経済・治安回復など喫緊の課題遂行とともに、今後6カ月以内をめどに予定される憲法改正と人民議会(国会)選挙の実施に責任を負うことになります。

 これらの成否にとっての鍵は、二つの根本問題にどう対処するかだといえます。

 第一は軍との関係です。軍は2011年はじめの「革命」からモルシ政権発足までの約1年半にわたり暫定統治を行いましたが、経済失政に加え権力移譲も先延ばしするなどし、多くの国民の批判を浴びました。

 今回、国防相に留任したシシ軍最高評議会議長はモルシ前大統領を解任した際、「軍は政治に関与しない」と繰り返しました。しかし新内閣では第1副首相を兼務するなど、早くも国民からは「影響力の維持・拡大を狙っているのでは」との疑念が出ています。「政治に関与しない」との軍の誓約をどう現実のものにするかが問われています。

 第二は国民的和解をどう進めるかです。モルシ氏の出身母体であるムスリム同胞団は現在も暫定政権への敵意を露骨に示し、同氏の復職を求める大規模デモを連日開催。15日から16日にかけてデモ隊と治安部隊の衝突で7人が死亡、260人が負傷する事態が発生しています。

 暫定政権は同胞団を含めた和解協議を近日中にも開始したい意向ですが、それは、モルシ政権の1年と今回の解任劇であらわになった「分裂」を克服しなければ、新たな国づくりが重大な困難に直面するからにほかなりません。先の「革命」では「パン、自由、社会的公正」に加えて「全国民のためのエジプト」がスローガンとなりましたが、暫定政権がこの声にどう応えるかが焦点となっています。 (カイロ=小泉大介)


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