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2013年6月21日(金)

大飯原発運転継続認可へ

規制委 新基準満たさないのに

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 国内の原発で唯一運転中の関西電力大飯原発(福井県おおい町)3、4号機の運転継続が認められる見通しとなりました。同機の現状が、新規制基準にどの程度適合しているかを確認する原子力規制委員会の検討チームが20日、「直ちに安全上重大な問題が生じるものではない」とする評価書案を示しました。24日の評価会合を経て、規制委は近く、定期検査に入る9月まで両機の運転継続を認める見通しです。


写真

(写真)関西電力大飯原発3、4号機(右から)

 検討チームは4月から約2カ月、新基準に「適合している」とする関電の報告書などについて、12回の評価会合と1回の現地調査を行い、適合状況を検討してきました。

 評価書案は大飯原発の現状について、「要求事項を満たしていない」と指摘しました。

 新基準は、原発の設計に関わる基準地震動(地震の揺れ)を策定する際、敷地や周辺の地下構造について3次元的な把握を求めています。しかし、関電はまともな調査をしていません。

 また新基準は、事故時の対応拠点として免震機能を備えた施設を求めていますが、大飯原発には免震重要棟がなく、基準を満たしていません。

 評価書案はこれらの問題を指摘したものの、基準を満たすことを運転継続の要件としませんでした。

 一方、評価会合での関電の姿勢については「対策を小出しに提案して新規制基準を満たす最低線を探ろうとするかのようだ」と批判しました。

解説

再稼働ありきの新基準を証明

 規制委の検討チームが大飯原発3、4号機の現状を「新基準」に照らして適合していると評価し、運転継続を認めたことは、新基準が原発の再稼働ありきの基準であることを示すものです。

 規制委は当初、新基準の審査で「例外扱いはしない」といっていました。しかし、規制委の田中俊一委員長が3月、運転中の大飯原発3、4号機の取り扱いに関する私案で、審査のために運転の停止を求めない方針を示しました。

 しかも評価にあたって、大飯原発で安全上の大きな問題になっている活断層の評価について棚上げしました。

 これまでの評価会合では、再稼働を急ぐ電力側の姿勢が露骨に示されました。若狭湾の二つの断層と、大飯原発東側の熊川断層の三つが同時に動いた場合の検討を求められた関電は、「必要がない」と再三拒否。今月になって「参考の計算」をやっと出しました。

 原発敷地内の地下構造の3次元的調査を求められても、関電は「今後、調査するが、(審査の際に)結果がそろわなくても、ご理解を」などと平気で発言しています。

 福島第1原発事故で重要な役割をした免震重要棟。大飯原発にはありません。そのため関電は当初、仮の拠点として3、4号機中央制御室横の会議室を使うというと、規制委は「機能喪失する恐れがある」と指摘。ところが関電が次に停止中の1、2号機の中央制御室横の会議室を提案すると、「機能を果たし得る」と容認しました。

 規制委は今回の評価について、他の原発の審査の「参考」と位置づけています。

 電力各社は、新基準の施行と同時に再稼働の申請をすると表明しています。基準を満たしていないのに運転継続が認められるのであれば、申請を表明しているどの原発も「ところてん」式に再稼働が認められることになりかねません。

 「世界でも一番厳しい規制基準」(規制委の田中俊一委員長)どころか、再稼働ありきの基準にすぎないことをあらためて示しました。 (三木利博)


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