2013年6月20日(木)
課税逃れ対策を強化
G8首脳会議で合意
【パリ=浅田信幸】英・北アイルランドのロックアーンで開かれていた主要8カ国(G8)首脳会議は18日午後(日本時間同日深夜)、2日間の討議を終え、首脳宣言を採択して閉幕しました。多国籍企業の「課税逃れ」対策を強化する国際ルール作りやシリアに関する国際会議を支持することで合意しました。
課税逃れ対策は、G8議長国イギリスのキャメロン首相が今回の最重要議題と位置づけた問題でした。
首脳宣言は、多国籍企業が税の軽減のために利益をタックスヘイブン(租税回避地)などに移転させている実態を把握するため、それぞれの国の税務当局に報告を義務づける仕組みを策定し、あわせて各国・地域の税務当局間で自動的な情報交換を行うための単一の国際的基準作りを進めるとしています。
記者会見したキャメロン首相は「国際的な税手段は世界で納税と税の公正さを確保する真の形をとりつつある」とし、「税を逃れようとする者に隠れ場所はない」と強調しました。
一方、ぎりぎりまで意見不一致の溝が埋まらず、キャメロン氏がロシアを除く7カ国首脳の宣言も考えたと伝えられるシリア問題では、化学兵器が使われたことに対し「最も強い表現で非難」し、和平をめざす国際会議の「可能な限り早期の」開催に支持を表明、政治的解決をめざすことで合意しました。
首脳宣言は、世界経済について、各国の政策努力で下降の危険は減少したものの、成長見通しは引き続き弱いとし、「成長と雇用の促進」が最優先課題だと強調しています。
外交政策では、核不拡散を「G8の優先課題」とし、イランと北朝鮮の核計画に「深い懸念」を表明しました。