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2013年6月20日(木)

主張

G8サミット

世界経済の回復につながるか

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 先進各国が2008年のリーマン・ショック以来の経済危機から、なお抜け出せないでいることをあらためて示した首脳会議でした。英国北アイルランドで開かれた主要国首脳会議(G8サミット)は、ユーロ危機に揺れた昨年の会議とは対照的に平静を装ったものの、世界経済の見通しは「弱い」と指摘しました。

 「成長と雇用が最優先」だと本格回復の必要を強調したのは当然の流れです。しかし、そのための具体策は提示できたといえず、かえって資本主義経済の行き詰まりを印象づけています。

好奇と不安の目で

 サミットの宣言は日本について、安倍晋三首相の主張に沿って、財政刺激、金融緩和、企業の投資促進策で「成長が支えられる」としました。半面、日本のさらなる財政悪化に警戒感が示されました。首相は閉幕後の会見で「(サミットで)日本経済がこれほど注目されたことはなかった」と自賛し、「自信を持って、ぶれずに着実に実行していく」と述べました。

 安倍政権による異常な金融緩和は、投機とバブルをあおる一方、生活物資やエネルギーの価格高騰を招き、国民生活に重しとなっています。国際的にも、円安を誘導し“貿易戦争”につながるとの批判があります。ただ、米国も欧州も異常な金融緩和策をとる点では変わりがなく、日本を批判する立場にないだけです。「アベノミクス」は世界から好奇と不安の目で見られていても、支持されたといえるものではありません。

 世界経済はこの異常な政策で「下振れリスクを抑えている」(宣言)にすぎません。米国の金融緩和に「出口」がちらつくたびに市場が大揺れするのも、実体経済に力強さがないことの反映です。

 G8宣言は「持続可能な成長と長期的な生活水準の改善」「質の高い雇用の創出」が重要だとしています。それ自体は正当な指摘ながら、その実現の鍵は「構造改革」にあるとしているところに、サミットの限界が示されています。

 「構造改革」が大企業の国際競争力の強化をめざしていることは、「貿易障壁を撤廃する」として環太平洋連携協定(TPP)交渉の前進を「歓迎」していることからも明らかです。市場万能、弱肉強食の新自由主義に立つ「構造改革」こそ国民生活を掘り崩し、持続可能な成長を妨げる元凶です。

 その主張こそ経済危機を招いた要因でもあったことを振り返る必要があります。リーマン・ショックの直後に破綻が指摘された新自由主義の復活を、強く批判する必要があります。

 サミットは、地球規模で活動する多国籍企業による租税回避・節税行動にメスを入れる必要を指摘しています。世界を舞台に法の抜け穴をぬって利益を最大化している多国籍企業の行動に、各国国民の厳しい視線が注がれていることを反映しています。実効ある制度づくりにつなげるべきです。

本格回復望めない

 「アベノミクス」のように、大企業が利益をあげればいつか「したたり落ちてくる」という政策で経済は回復しません。本格的な景気回復は国民の所得を引き上げることによってこそ実現するものです。国民のふところを温める政策が「アベノミクス」にも、サミット宣言にも欠落しています。


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