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2013年6月17日(月)

イラン大統領選結果

閉塞打破の思い表出

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 イラン大統領選挙で保守穏健派のロウハニ師が大方の予想を覆して第1回投票で当選を決めたことは、社会の深部でうっ積していた国民の閉塞(へいそく)感や政治に対する不満が、選挙最終盤で爆発的に表出したことを物語っています。

明暗は核開発に

 それは、改革派のハタミ前大統領時代の2003年に、核交渉責任者としてウラン濃縮活動の凍結で合意したロウハニ師が過半数の票を得る一方、行き詰まりを見せている現核交渉の責任者であり、最高指導者ハメネイ師に最も近いとされる保守強硬派のジャリリ氏がわずか11%の得票にとどまったことが象徴しています。

 現在の核開発問題は、05年に就任した強硬派のアハマディネジャド大統領がウラン濃縮活動を再開し、これに対し国連安全保障理事会が経済制裁決議を相次いで採択したことに始まります。さらに10年に同大統領が3・5%の低濃縮ウランに加えて20%の高濃縮ウラン製造を宣言すると、米欧諸国はこれが核兵器開発に直結すると批判を強め経済制裁をさらに強化しました。

 この状況下、世界第2位とも3位ともいわれる石油埋蔵量を誇るイランで国民生活は急速に悪化。貧困ライン以下で暮らす国民は05年に22%だったのが、現在は40%に達するとの調査もあるほどで、とくに昨年以降は通貨価値の下落、高インフレ、失業増大の三重苦に見舞われてきました。

対話路線へかじ

 ロウハニ師は選挙戦で民生用核開発の権利を擁護しつつも、「わたしは過去8年間の政治を継承しない。和解と平和の政策を追求する」と訴えるなど、強硬・孤立路線から国際社会との対話路線へとかじを切る姿勢を鮮明にしました。

 選挙終盤には、ハタミ前大統領に加えて、保守穏健派の重鎮で今回の大統領選に立候補登録しながら事前審査で却下されたラフサンジャニ元大統領もロウハニ師支援を表明。さらに唯一の改革派候補だったアレフ元第1副大統領が選挙戦から撤退するなど、保守穏健派と改革派の「共同戦線」といった状況が生まれ、多くの国民の支持がこれに集まりました。

 イランでは1979年のイスラム革命以降、宗教上の最高指導者(現在はハメネイ師)が政府、司法、議会、軍などの上に立つ強大な権限を握っています。課題山積のなか、国民の期待を背にしたロウハニ新大統領が、最高指導者との新たな関係構築を含め、いかに手腕を発揮していくのか注目されます。

 (カイロ=小泉大介)


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