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2013年6月8日(土)

主張

経済と財政の再建

所得増やさねば実現は不可能

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 安倍晋三政権が、「アベノミクス」の第3の柱となる「成長戦略」をまとめたのに続いて、今後の財政運営の指針となる「骨太方針」(素案)を経済財政諮問会議で決めました。うたい文句は、「経済再生と財政健全化の両立」。しかし、大企業に「世界一活動しやすい国」を保障する一方で国民の所得は奪い雇用を破壊する「アベノミクス」では、経済の再生も財政の立て直しも実現しません。経済と財政を再建するというなら、まず「アベノミクス」を中止すべきです。

アベノミクスで財政悪化

 日本の財政は、国の借金である国債の大量発行が続き、債務残高が国内総生産(GDP)の2倍を超す危機的な状態です。その原因は無駄な大型公共事業や軍拡を推進し、大企業・大資産家優遇の不公正な税制を続けたためであり、この20年間の異常な「デフレ不況」が税収の落ち込みに拍車をかけてきました。経済にも財政・税制にも抜本的なメスを入れない限り、立て直しは実現しません。

 異常な金融緩和と財政出動、「成長戦略」を柱とする「アベノミクス」は、金融緩和のため国が発行する国債を日銀がどんどん買い上げるため、事実上財政赤字を日銀が穴埋めする政策だと批判されています。金利の上昇で国債の利払いにあてる国債費が増える懸念も現実のものになろうとしています。安倍政権が「経済再生と財政健全化の両立」をいいだしたのも、批判や懸念が無視できないためです。

 財政を立て直すには国民の暮らしを豊かにし経済を活発にして税収を増やすことが必要ですが、もともと「アベノミクス」には消費者物価を2%上昇させる目標はあっても、国民の所得を増やす目標はありません。安倍首相は「国民総所得(GNI)」を増やすといいだしていますが、国民の収入も企業のもうけもいっしょにした計算です。円安や株価の上昇で大企業がもうけを増やしても、労働者の賃金や雇用が増えなければ国民の所得は増えません。利益を社会に還元させる法人税などの税率はさらに引き下げようというのが財界の要求です。これでは税のゆがみがいよいよ激しくなり、税収も落ち込むことになります。

 安倍政権が「骨太方針」(素案)で持ち出している中身を見ても、社会保障支出を「聖域とせず、見直しに取り組む」ことや、地方財政のための支出を見直すなど、国民向けの支出を削減するものばかりです。大企業優遇の財政・税制の仕組みを改めるという発想はまったくありません。福祉や教育など国民向けの予算の削減が生活をさらに悪化させ、経済をいっそう落ち込ませるのは確実です。安倍政権がやろうとしているのは、経済と財政の再建を「両立」させるどころか、破綻させる道です。

消費税に頼らない対策を

 とりわけ「骨太方針」が、来年4月からの消費税増税について「着実に取り組む」としていることは重大です。消費税増税は、すべての国民に重い負担を押し付け、購買力を奪うもので、経済も税収も落ち込ませます。

 働く国民の所得を増やし雇用を安定させるとともに、社会保障や教育を充実させてこそ、経済も財政も立て直すことができます。「アベノミクス」は中止し、消費税増税は断念して、国民の所得を増やす政策に転換すべきです。


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