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2013年6月6日(木)

主張

生活保護法参院へ

世界に逆らう異常こそただせ

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 生活困窮者の生存を保障する生活保護制度の理念を覆す同法改悪案と生活困窮者自立支援法案が衆院で可決され、参院に審議の舞台が移りました。保護が必要な人を福祉事務所窓口で追い返す仕組みが大問題になったのに、本質を変えない「修正」を加えただけでこぞって賛成した自民、民主、公明、日本維新の会、みんなの党、生活の党の責任はきわめて重大です。日本共産党と社民党は反対しました。「国民を救う最後の安全網を守れ」の声を大きく広げ、廃案に追い込むたたかいが急がれます。

「修正」で矛盾あらわに

 安倍晋三政権が提出した2法案は、保護を受ける手続きのハードルを引き上げて受給者を減らすと同時に、受給者への生活費支出や健康への監視・管理を強めることで保護費を圧縮することを狙った、かつてない制度改悪です。

 いまは口頭でも受け付ける保護申請を、通帳など多くの書類を添えないと申請さえ受け付けないと法文化したことは、国民だれにも保障されている申請権の侵害です。生活保護法にてらして違法とされる「水際作戦」の合法化です。

 生活困窮者を支援する団体や法律家から批判が集中したため、自公民などは、書類を提出できない「特別な事情」がある人は例外扱いするという一文を加える「修正」をほどこして衆院可決を押し切りました。しかし、保護が必要な人を排除する危険はいささかも変わっていません。それどころか、「修正」したことで、書類提出こそが大原則であり、書類提出がない場合の申請受理はごくごく限られたケースにとどめることを可能にする“お墨付き”を与えたのも同然です。「改定でも運用は変わらない」という政府の言い分はまったく成り立ちません。

 保護申請者を扶養する能力があると見なされた人にたいする福祉事務所の調査権限の強化の条文は、扶養の義務化に踏み込む、むきだしの大改悪です。こんな改悪案が強行されれば、生活苦に陥っても申請すらできない人や「親族に迷惑がかかる」と申請をためらう人が激増し、貧困による餓死・孤立死が相次ぐ事態を引き起こしかねません。

 生活困窮者を窓口で追い返す「水際作戦」が横行する日本の生活保護申請の“厳格さ”は、世界各国のなかでも異常です。今年5月、国連の社会権規約委員会が日本政府にたいし、生活保護の申請手続きを簡素化し、申請者が尊厳をもって扱われることなどを求める勧告を出したのは、日本の「水際作戦」の人権侵害ぶりがあまりにも明白だったからです。

 社会権規約を批准している日本には勧告にもとづき事態を改善する義務があるのに、改悪案は国連勧告に真っ向から逆らうものです。受給者を締め出す世界から見て異常なやり方を根本的にあらため、保護が必要な人の申請を迅速に受け付ける制度に改善・強化することこそが必要です。

生存権保障の議論こそ

 受給者排除と保護費削減ばかりをめざす改悪案は根本が間違っています。保護を受給できる人が生活困窮者の2割程度しかいない問題の解決をこそ急ぐべきです。健康で文化的な生活を国民に保障する憲法25条にもとづく制度の充実・発展という原点に立ち返った審議が求められます。


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