2013年6月5日(水)
武器貿易条約の署名式
野放し取引、初規制
国連 50カ国批准で発効へ
通常兵器の国際取引を規制する初の条約となる「武器貿易条約」(ATT)の署名式が3日、ニューヨークの国連本部で行われました。この日だけで約60カ国が署名。条約は批准した国が50カ国目に達した90日後に発効します。
国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は署名式で、「ATTを持つことで、世界は国際的武器貿易の野放し状態に終止符を打つ決意を固めたことになる」と表明。「ATTは確固としたものであるが、その効果は、完全な達成を保証する各国の意思にかかっている」と述べ、確実な運用が必要なことをあげました。
ATTは、通常兵器の輸出入を国際的に管理して、人権弾圧や戦争犯罪を防ぐことが目的です。
戦車、戦闘機、攻撃ヘリコプター、軍用艦、など通常兵器から小型武器まで、輸出入や仲介取引についての取り決めを規定しています。
一方、武器貿易についての各国の「政治・安全保障・経済・通商上の利益」を認めています。条約の禁止規定に違反するかどうかの判断が武器輸出国にまかされています。
非政府組織(NGO)からは、武器輸出国が輸出をやめることこそ重要との意見が出ています。
ATTを目指す動きは1990年代後半にアリアス元コスタリカ大統領らノーベル平和賞受賞者などの提起で始まりました。2006年には国連総会が英国の主導で日本を含む7カ国が提案した条約促進の決議を採択していました。
条約案は、今年4月2日の国連総会で、賛成154(米国、英国、日本など)、反対3(イラン、シリア、北朝鮮)、棄権23(ロシア、中国など)で採択されていました。