2013年5月30日(木)
欧州若者失業 独仏連携し取り組み
中小支援・職業訓練など
【パリ=浅田信幸】フランスのオランド大統領は28日、パリ政治学院で開かれたフォーラム「欧州の未来」で演説し、深刻化する欧州の若者の失業問題にドイツと連携した取り組みを進めると表明しました。
オランド氏は「非常事態が生じた時には第1に急がなければならず、いま若者の雇用という非常事態が生じている」と指摘し、「若者雇用のための攻勢がきょう開始される」と述べました。
欧州統計局によると、3月時点で欧州連合(EU)27カ国の25歳未満の若者の失業者数は570万人(失業率23・5%)にのぼります。とくに財政危機で厳しい緊縮政策がとられているギリシャやスペインでは55〜60%、イタリアとポルトガルで38%台にまで達し、メディアでは「失われた世代」との呼称も使われています。
「成長と雇用のための欧州イニシアチブ」と名付けられた独仏連携の雇用対策についてはサパン仏労働相が概要を説明。(1)雇用創出の潜在力を持った中小企業の支援(2)教育と職業訓練を同時に進める(デュアル)システムの開発(3)外国語の習得などを目的とした域内移動の奨励と補助―を三つの柱にすると述べました。
EUではすでに、4カ月ないし半年を超えて仕事や職業訓練に参加できない若者が生まれないようにする対策に60億ユーロ(約7800億円)の予算を内定しています。「欧州イニシアチブ」はその具体化とともに、その枠を超えてEUのもろもろの域内格差解消を目的とした構造基金の活用も視野に入れた野心的な対策に、独仏が主導性を発揮しようというものです。
詳細については6月末のEU首脳会議での検討を経て、7月3日にメルケル独首相とオランド氏も出席してベルリンで開かれるEU労働相会議で発表される段取りです。