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2013年5月22日(水)

アベノミクスで何が 現場に見る

値上げラッシュ 暮らし直撃

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 安倍政権の「アベノミクス」などによって進行する急激な円安。輸入原材料が値上がりし、食料品・日用品に値上げラッシュの波が押し寄せようとしています。現場では―。 (君塚陽子)


「賃金上がらないのに」

 パンやうどん、菓子…、国内で使われる小麦粉の9割は輸入です。政府は4月1日から政府売り渡し価格を平均9・7%値上げしました。価格は国際相場などを反映させて決めます。値上げは「昨年11月下旬以降、円安基調に転じているのも要因」(農水省)。価格改定で製粉会社が国産小麦も値上げするのは、輸入価格と連動させる仕組みを導入したからです。

 JA全農は、輸入トウモロコシなどを原料にする配合飼料について「値上げ幅も供給価格も過去最高水準に近づいている」と言います。飼料の価格改定は3カ月ごと。「今回の値上げは円安が原因です」

 原料パルプの7割を海外から調達する紙。王子製紙は「1円安くなればグループ全体で4億円の減益。あまりに急激な円安で経営の前提条件が崩れている」と強調します。

 経済ジャーナリストの荻原博子さんは「まだ在庫があるので、店頭価格はそう変わっていませんが、在庫がなくなれば値上げせざるを得なくなる」と指摘します。「給料が上がらず、生活必需品が上がれば生活は苦しくなるばかり。景気回復もしません。新しい産業を起こし、雇用を広げることをはじめ、経済を活性化する土壌をつくり、給料を上げる“成長戦略”をしっかりやってもらわないと」と話します。

店主「やりくり もうギリギリ」

 東京・新宿区で中華料理店を営む店主(51)は、怒りがおさまりません。3月末、卸業者から「為替変動に伴い下記商品が値上がりとなります」と書かれた紙を渡されました。中華の基本的な食材であるヤングコーン、うずら卵、マッシュルーム、ピータン、ザーサイ…、そして割りばしまで。軒並み値上げの知らせでした。

 「油はすでに一斗缶(約18リットル)で200円上がっていて、さらに再値上げの話も来ている。おそらく中華めんも上がるだろう」

 開業して30年。周りにはチェーンの牛丼店やラーメン店が増えました。「冷凍食品じゃなくて、一から手作りが自慢」。厨(ちゅう)房(ぼう)や洗い場など7〜8人が働きます。ラーメンは1997年から480円のままです。

 「いまどき原料が上がったからといって、メニューの値上げなんかできない。もうぎりぎり。この先、消費税増税なんてとんでもないね」

 東京・渋谷区。手作りサンドイッチを販売する女性店主(62)も不安を隠しません。業者から値上げの話はまだ。「この先、パンや油、マヨネーズが値上がりするだろうと分かるけど、小さな店では在庫なんて抱えられない」。朝4時半から仕込み。人気の卵サンドイッチ105円の価格は30年据え置いたまま。「コンビニと競争だから。もうけなんてほとんどない。でも、お客さんに『おいしかった』って言われるのが何よりうれしい。安心して店を続けられるようにしてほしい」

小麦粉/食用油/マヨネーズ/ツナ缶/トイレットペーパー…

 【小麦粉】日清製粉、日本製粉は6月20日出荷分から業務用小麦粉の価格を値上げします。食パン用の強力粉の値上げ幅は145円(25キログラムあたり)、うどん、菓子用などの中力・薄力粉は同215円、国内産小麦は同170円。家庭用の値上げは「検討中」。

 【食用油】日清オイリオグループ、Jオイルミルズは4月1日納入分から、家庭用を30円値上げ(1キログラムあたり)、業務用を500円値上げ(斗缶あたり)しました。オリーブオイルやごま油も10〜20%値上げしました。

 【マヨネーズ】食用油の値上がりをうけてキユーピー、味の素は家庭用・業務用をそれぞれ7月1日、8月1日出荷分から約3〜9%値上げします。家庭用で20円〜25円アップに。

 【ツナ缶】需要拡大や円安で原料のビンナガマグロ・キハダマグロなどの価格が高騰し、はごろもフーズは16種の缶詰を5月1日から10〜15円値上げ。別の缶詰2種は6月1日から内容量を80グラムから70グラムに減らします。

 【トイレットペーパー、印刷用紙】トイレットペーパーや箱ティッシュを製造する日本製紙クレシアは卸値の15%以上値上げを求め、卸売業者と交渉中。同様に交渉していた王子製紙は「(値上げを)ほぼ理解してもらえた」。5箱1パックでおよそ10〜20円の値上げに。また、本や雑誌、ポスターなどに使う印刷用紙の20%以上値上げを卸売業者に要請中です。

 【飼料】JA全農は、畜産用の配合飼料4〜6月期の価格を1〜3月期に比べ、トンあたり約3200円値上げしました。


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