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2013年5月17日(金)

Jリーグ20年の芸術

ジョルジーニョ、ドゥンガ、ストイコビッチが語った

外から見た日本の美点

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 自分のことは、往々にして、見えないことがあるものです。

 15日に20歳を迎えたJリーグでも、同じことがいえるかもしれません。外国から来た人たちの方が、しばしば本質的な指摘をしてくれることがあります。

驚きの進歩

 Jリーグでプレーし、昨年は鹿島の監督を務めたジョルジーニョさんにインタビューした際、こんな話をしてくれました。

 「いまの日本は、私がプレーした当時と比べ格段の進歩をしている。とくに戦術的な理解度がとても高くなった。監督の説明をすぐに理解し、実行できるようになったのに驚いた」

 Jリーグ発足後、W杯に4大会連続して出場するなど、20年のレベルアップは目覚ましい。一方、多くの課題もあります。日本選手の問題点を鋭く指摘してくれたのは、元ブラジル代表、磐田でプレーしたドゥンガさんでした。

 「日本人はミーティングが好きです。でも、自分の意見を言わず黙ってしまう。一人ひとりの考えていることを表現し、討論しなければ、本当にいいサッカー、いいチームはできないのだよといいたかった」。ピッチで鬼の形相をみせ、味方の日本選手を叱咤(しった)する姿には、そんな思いもあったのです。

尊重の文化

 「日本には、お金で買えない、世界に誇れる環境がある」と教えてくれたのは、名古屋のストイコビッチ監督です。それは意外にも「スタンドの雰囲気」だといいます。

 「子ども、女性が安全に楽しげに、そして穏やかにサッカーを楽しめる。こんな環境は欧州にはほとんどない」

 なるほどと思ったのは、その理由です。

 「それは日本に、ほかに類をみない『尊重する文化』があるからだと思う。人々はトラブルを望まず、向上心が高い。組織的にまとまることもできて、経済的な力も持っている。何より一人ひとりが、相手にしっかりと尊敬の念を表してくれる。私が日本を好きな理由もここにあるのです」

 うれしいのは、この「尊重の文化」が、プレーにも投影されている、との指摘です。

 「Jリーグはとてもクリーンでフェアなリーグです。これも世界に誇れるファンタスティックな側面です。それは、まるで山から流れる水のように美しい」

 かつてメキシコ五輪(68年)で日本を銅メダルに導いた日本サッカーの父、デットマール・クラマーさん(88)は、「サッカーは国民性を映す鏡」として、こう語っていました。

 「サッカーは、一つの絵画です。国民と選手が描く芸術なのです」

 20年間で一つの「絵」は、描かれました。クリーンで美しいサッカーは、関係者だけでなく、日本中の人々の手でつくりあげた文化であり、“芸術”でしょう。

 同時に思うのは、これは完成された「絵」ではないことです。10年後、20年後、どう変化、発展していくのか。また“外の声”に耳を傾けてみたいと思っています。

 (和泉民郎)


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