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2013年5月4日(土)

主張

F35の価格高騰

購入決定を撤回するしかない

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 米国防総省が公表した2014会計年度(13年10月〜14年9月)国防予算案で、日本が42機の購入を決めているF35戦闘機の1機当たりの価格が約190億円になることが明らかになりました。

 防衛省はF35の購入のため12年度予算に4機分、13年度予算案に2機分を計上しました。12年度予算の計上分は1機当たり102億円ですが、米国防予算案では1機当たり90億円も増えることになります。13年度予算案では約150億円です。政府も価格が高騰すれば「購入できない」といっており、購入は直ちに中止すべきです。

敵地攻撃に「生かす」

 米国など9カ国が開発中のF35戦闘機は、開発に手間取り、価格が高騰するといわれてきました。米国防予算案はそれを裏付けたものです。こんごもどれだけ跳ね上がるのかわかりません。米国と軍事同盟関係にあるカナダは予定していた65機の購入を白紙撤回し、オーストラリアも調達の時期を先送りしました。日本政府だけが日米軍事同盟に縛られ購入を続けることに説得性はありません。

 F35の購入価格が米国の言い値になるのは、米側が条件を定めて価格を決める有償軍事援助による契約だからです。

 政府は昨年6月米政府とかわした、1機102億円、4機で409億円とする「引受受諾書」があるから価格高騰がないかのようにいっていましたがこれはごまかしです。「受諾書」の価格は「見積もり」にすぎず「米政府はこれらに拘束されない」と防衛省も説明しています。日本への納入時点で差額が請求されない保証はありません。

 見過ごせないのは、価格の高騰だけでなく、F35の導入によって日本が周辺地域の平和を一段と脅かす存在になることです。F35はレーダーにとらえられにくいステルス性能を備え、長距離攻撃能力と爆撃能力をもつ最新鋭の戦闘機です。空中給油をすれば作戦距離はさらに広がります。過去の侵略を反省もしない日本がF35をもてば、周辺諸国の警戒を強めさせることになります。

 安倍晋三首相が国会で、「敵基地攻撃」に関連して「F35を導入するのであればF35の能力も生かしていくことができるか検討しなければならない」とのべたのはとくに重大です。敵基地攻撃とは、「自衛」の範囲を超えて他国の領土を侵略し、先制攻撃することになる行動です。F35の導入を機に、それさえ認めていくとなれば、日本はいよいよ海外で戦争する国になってしまいます。かつて長距離爆撃能力をもつF4戦闘機の導入のさい、政府は「憲法に触れる」と明言し、爆撃能力をもたないことを決めた経過もあります。それさえ無視した暴論はとうてい許されるものではありません。

生活予算に回してこそ

 F35の購入は関連経費を含めると1兆6千億円ともいわれます。これで大もうけするのは米国と日本の兵器産業です。東日本大震災から2年以上にもなるのに復興は遅れに遅れています。被災者にまで消費税増税を押し付け、社会保障を大改悪する一方で、F35を購入し続けるのは許されません。

 軍拡競争を激化させることにしかならないF35の購入決定を撤回させ、大震災復興など国民生活予算に回させることこそ重要です。


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