「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年5月2日(木)

「0増5減」と定数削減

「筋違い」と広がる批判

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 小選挙区「0増5減」に伴う区割り改定法案が、衆院で与党多数で強行採決され、参院に送られました。衆院段階で浮かび上がった欠陥や問題点を見てみると―。


 「0増5減」法案は、選挙区間の人口格差(1票の格差)の「緊急是正」といいながら、是正の名に値しない“取り繕い”策であることがはっきりしました。

 法案が成立しても最大格差は1・998倍で、2倍をわずかに下回るだけ。直近の住民基本台帳ではすでに人口変動によって2倍を超えた選挙区もあると指摘されており、「投票価値の平等」という憲法の要請に応えられていません。日本共産党は、とりあえず格差を2倍以内に抑えるためにやったものだと批判してきました。

 国会の質疑で自民党の大塚拓衆院議員は「選挙区がころころ変わるのは有権者にとっても大変不利益」などといって、「立法府の裁量権に含まれる」と正当化。一方、自民・宮川典子衆院議員は「0増5減」をやっても選挙区間で20万人もの人口格差があるとして、「有権者に大きな疑問を投げかけることになり得る」といわざるを得ませんでした。

 総務省の米田耕一郎選挙部長は「できるだけ異動が少ない形で行うということがまずあった」と述べ、取り繕いであることを認めました。小選挙区制が大政党優位に民意をゆがめるとともに、投票権の平等という点でも憲法の原則と相いれない制度であることは明瞭になっています。

民意を削る主張

 民意の反映が問われているのに、各党が民意を削る定数削減を主張していることは見過ごせません。

 自公は「0増5減」で小選挙区制を固定化したうえで、比例定数を150(30減)にする案を提起。民主党は「定数削減を含む『抜本改革』を通常国会中にやることになっていた。その約束もはたされないなかで、『0増5減』でお茶をにごすという形になっている」(細野豪志幹事長)として、定数80削減法案を国会に提出しました。

 日本維新の会も「『0増5減』だけ先行処理されると、定数削減ができない」(松野頼久国会議員団幹事長)として3割削減(総定数336議席)を示しています。

 みんなの党も衆院300議席(180減)という極端な考えを持っています。

 しかし、もともと日本の衆院議員数は決して多くありません。ヨーロッパ諸国は人口10万人に1人が標準であり、日本でも1925年男子普通選挙制度が始まった当時は12・8万人に1人の議員でした。現在の26・7万人に1人は、国際的にも歴史的にもきわめて少ないのが実態です。

 日本共産党は「定数削減を行う合理的根拠はない」と批判。「小選挙区制の投票価値の不平等が問題になっているときに、比例定数削減を持ち出すのは筋違い」と主張しました。

メディアが警告

 定数削減が「抜本改革」なのか―。定数削減をあおってきたメディアから警告も出始めています。「読売」(4月23日付)は、法案審議の停滞や小政党が委員会審議に関与できなくなるなど定数大幅削減がもたらす弊害をあげ、「立法機能の低下を招く」と指摘しています。

 「身を切る姿勢をみせて、霞が関に切り込む。そのために必要だ」(維新・松野氏、4月23日)といいますが、「霞が関」をチェックすべき国会議員を減らせば、ますます目が行き届かず、「切り込む」どころか「野放し」になりかねません。

 定数削減はもともと「増税を求める以上、議員も身を切る必要がある」(野田佳彦前首相)というよこしまな思惑で持ち出されたものです。民意を削り、国会の機能を弱体化させる定数削減をあおるのは論外です。  (竹原東吾)


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって