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2013年4月22日(月)

テロ多発で選挙混乱

米軍撤退後初の政治戦

イラク

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 【カイロ=小泉大介】米軍による戦争開始から10年余が経過したイラクで20日、地方選である州評議会選挙が実施されました。一昨年末の米軍「撤退」後初めての政治戦であり、来年に予定される総選挙の「前哨戦」ともいえるものでしたが、選挙をめぐる動きは同国の混乱ぶりを浮き彫りにしました。

 選挙は、全18州のうち、治安悪化や政治混乱を理由に西部アンバル州や北部ニネベ州などで投票が延期され、実施は12州にとどまりました。378議席に約8000人が立候補した選挙の結果判明には時間がかかる見込みですが、人口の約6割を占めるイスラム教シーア派の政治勢力が優勢のもようです。

 来年の総選挙で3期目を狙うシーア派のマリキ首相は20日の投票後、「民主的で自由な選挙をもとにイラクの再建をつづける」と表明しましたが、国民の見方は冷ややかです。

 首都バグダッドのタクシー運転手の男性、ナセル・アリさん(39)は本紙の取材に対し「治安はいまも悪く、経済が回復する兆しも見えません。政治勢力の対立や腐敗状態が変わらない限り、総選挙に向けて事態はさらに悪化しかねない」と強調。バグダッド大学のイフサン・シャマリ教授は地元テレビに「今回の選挙がイラクの諸問題に魔法の解決策をもたらすとは思えない」と語りました。

 イラクでは今回の選挙を前にした15日に全土で爆弾テロが多発し55人が死亡、投票直前の18日にはバグダッドの喫茶店で起きた自爆テロで32人が犠牲になるなどほぼ1週間で100人以上が命を落としました。候補者も少なくとも14人が殺害されました。

 マリキ首相の「独裁」政治に対するイスラム教スンニ派(人口の約2割)の政治勢力や住民らの反発は根深く、「対立」に乗じたテロ攻撃は新たな国づくりをさらに困難にしています。戦争と、米占領軍がイラクに押し付けた分断統治政策の傷痕は癒えないままとなっています。


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