2013年4月12日(金)
在沖海兵隊 グアム移転 計上わずか
米国防総省 20年完了、現実性なし
米国防総省が10日、米議会に提出した2014会計年度(13年10月〜14年9月)国防予算案に計上された在沖縄米海兵隊のグアム移転経費は8567万ドル(約85億円)となりました。
前年度比で83%削減された13会計年度の2590万ドルと比べて増やしていますが、約240億ドル(米政府監査院=GAO見積もり)とされるグアム増強計画の全体から見れば、ごくわずかです。計上された事業費もグアムのアンダーセン空軍基地格納庫整備の1件だけです。
米太平洋軍のロックリア司令官は5000人規模とされるグアムへの海兵隊移転について「2020年まで」の完了を目指す考えを示していますが、現在のペースでは現実性はありません。
また、米議会は、国防総省が正確なコスト見積もりを示していないことなどを理由に、日本政府が支払ってきたグアム移転経費の執行を停止しています。
解説
前提崩れる嘉手納以南返還
日米両政府が5日に公表した沖縄本島の「嘉手納基地以南」6基地の統合計画は、沖縄県内への基地機能移転に加え、グアムやハワイへの海兵隊9000人移転を前提条件としています。なかでも、牧港(まきみなと)補給基地(浦添=うらそえ=市)やキャンプ瑞慶覧(ずけらん)(宜野湾市など)は、「日本国外」への移転規模によって「返還」面積が変動します。
統合計画はおおむね2020年代の完了を目指していますが、米国防総省の予算案に示されたグアム移転経費を見る限り、およそ非現実的な目標といわざるをえません。「移設条件」がある限り、基地返還は進みません。(竹下岳)