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2013年3月21日(木)

きょうの潮流

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 それは驚きの光景でした。長野県のペンションで開かれたクラシック音楽の演奏会でのこと。一流のプロの演奏中に猫や子どもが出入りする。カメラのフラッシュがたかれる▼演奏中には咳をしてもいけない。物音をたてたら演奏をやめてしまうこともある。そう思っていた筆者はハラハラ▼懇親会で演奏者から返ってきた言葉は、意外でした。「まったく気になりませんよ」「こんなふうに気軽に楽しむ演奏会がやりたい。かつてのように貴族や金持ちのためではなく」「初参加者の目の輝きが忘れられない」。生演奏のすばらしさとともに演奏者たちの考え方に魅かれました▼この時、チェロ演奏で聴いた曲がパブロ・カザルス(1876〜1973年)の「鳥の歌」。スペインのカタルーニャ地方の民謡です。「私の生まれ故郷カタルーニャの鳥はピース(平和)、ピースと鳴くのです」。当時94歳のカザルスが71年、ニューヨークの国連本部で「鳥の歌」を演奏したさいのエピソードです。チェロが奏でる鳥のさえずりは心に残ります▼チェリスト、指揮者、作曲家だったカザルスはナチズムやスペインのフランコ独裁政権に断固抵抗し、核実験禁止の運動にも参加しました▼音楽はだれのためのものか。カザルスは、音楽がファシストに利用されることを拒否。音楽が富裕層だけのものになることを憂い、労働者のための音楽協会を設立しました。ことしは没後40年。日本や世界各地の演奏会で、楽器が奏でる「ピース」の音色が楽しみです。


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