「しんぶん赤旗」
日本共産党
メール

申し込み記者募集・見学会主張とコラム電話相談キーワードPRグッズ
日本共産党しんぶん赤旗前頁に戻る

2013年3月7日(木)

山下書記局長代行の代表質問 参院本会議

このエントリーをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 mixiチェック

 日本共産党の山下芳生書記局長代行が6日、参院本会議で行った代表質問は以下の通りです。


 私は日本共産党を代表して総理に質問します。

東日本大震災2年――住宅再建のため被災者への支援金大幅拡充を

写真

(写真)代表質問に立つ山下芳生書記局長代行=6日、参院本会議

 東日本大震災からまもなく2年となります。しかし、復旧・復興、とりわけ住宅再建の遅れは深刻です。「親せき宅に身を寄せていたが、2年もたち、これ以上は肩身が狭い」「狭い仮設住宅に2世帯で同居しているが、もう限界、世帯ごとに入りたい」など、いまでも仮設住宅への入居待ちが、陸前高田市で70世帯、東松島市で100世帯にも上っています。

 災害公営住宅の建設を急ぐとともに、被災者が自ら住宅を再建する支えとなる被災者生活再建支援法による支援金を大幅に拡充すべきではありませんか。

 これから住宅を再建する被災者にとって、消費税増税は大打撃となります。岩手県では、住宅の再建に平均2000万円かかります。消費税が10%になれば200万円となり、支援金300万円の大半が消えてしまいます。総理、消費税の増税が復興の妨げになるとは考えないのですか。こんなことはやめるべきではありませんか。

TPP――食料自給率・食の安全・医療・雇用からみても交渉参加は断念せよ

 TPP(環太平洋連携協定)について質問します。

 総理はこれまで「『聖域なき関税撤廃』が前提なら交渉参加に反対」と繰り返し述べてきました。なぜか。関税が撤廃されたら大変なことになるからです。

 農産物の関税撤廃によって、経営規模が100倍以上のアメリカや1500倍以上のオーストラリアの農業と、日本農業は、丸裸の競争にさらされ、壊滅的な打撃をうけます。

 農林水産省の試算では、主食のコメさえ9割が外国産に置き換わり、食料自給率はいまの39%から13%に激減します。こんなことになれば、国民の生存そのものが根本から脅かされるではありませんか。だからこそ、自由貿易のもとでも、農産物には高い関税を課し、自国の食料はできる限り国内で生産するという「食料主権」が、国際的にも広く認められているのです。

 総理は、「『聖域なき関税撤廃』は前提でないことをオバマ大統領と確認した」と述べました。そこでお聞きします。

 首脳会談をふまえて発表された「日米の共同声明」では、関税を撤廃することがTPPの原則だとした2011年11月の「TPPのアウトライン」を「確認する」とされました。くわえて、「すべての物品が交渉の対象となること」も「確認する」とされました。ならば日本で言えば、コメ、麦、牛肉、乳製品、甘味資源など重要品目はすべて関税撤廃を求められることになるではありませんか。違うのですか。明確にお答えください。

 総理は、TPPに対応し、「強い農業」をつくり、農産物の輸出を増やすといいます。

 しかし、これは事の本質をごまかすものです。一番の問題は、食料の自給率を高めるかどうかにあります。政府の「食料・農業・農村基本計画」では食料自給率を50%に引き上げるとしています。国民の約9割も「食料は高くても国内産で」と望んでいます。総理は、国民の切実な願いである食料自給率向上を投げ捨てるのですか。それとも、TPPに参加しても、自給率は向上できるとでも言うのですか。

 TPPは関税だけではありません。各国の基準や制度の違いを「非関税障壁」として撤廃することも原則としています。アメリカはこの原則にそって、「遺伝子組み換え表示をやめよ」「農薬の残留基準を緩めよ」「混合診療を解禁し、医療への営利企業の参入を認めよ」などと迫ってきています。TPPに加われば、食の安全や医療、雇用が脅かされることはあきらかではありませんか。

 TPP交渉参加はきっぱり断念すべきであります。

賃金引き上げへ、雇用は正社員が当たり前の流れを

 「デフレからの脱却には賃金の引き上げが必要」との認識は、いまや立場を超えた共通のものとなりつつあります。総理も、「報酬の引き上げを、産業界に要請した」と述べました。

 賃金引き上げには何が必要でしょうか。経済財政諮問会議に提出された内閣府の資料は、「企業は、正規雇用を絞り込み、賃金水準の低い非正規雇用のウエイトを高めることで人件費を抑制(している)」と述べています。つまり、歴代自民党政権が進めてきた派遣労働の容認と拡大、期間を定めて働く有期労働の拡大が賃金を低く抑える手段とされているのです。

 総理、本気で「報酬の引き上げ」をめざすなら、政治の責任で、労働法制の規制緩和を改め、「雇用は正社員が当たり前」の流れをつくるべきではありませんか。

 いまや全労働者にしめる非正規雇用の割合は35%をこえ、日本社会にとって、放置できない深刻な事態をもたらしています。

 非正規雇用の労働者は、いま、低賃金にあえいでいるだけではありません。リタイアするまで不安定な生活を強いられ、老後も極めて低い年金を余儀なくされることになります。

 それだけではありません。30代の男性では正社員の未婚率が30・7%なのに、非正社員はその2・5倍、75・6%にも上っています。

 総理、こうした働かせ方が、無年金・低年金や少子化の一因となり、日本の将来を危うくさせているとの認識はありますか。

 一方で、非正規雇用の広がりが、若者を、正社員をめざす苛烈な競争にかりたてています。そのなかで、新卒の若者を正社員として大量に採用し、長時間残業、パワハラなどで短期間のうちに企業に極端に従属する人間に変えてしまう。その過程で若者は選別され、精神を病むなどして大量に退職に追い込まれる――いわゆる「ブラック企業」が、有名企業にまで広がっていることは看過できません。

 若者の能力を生かすのではなくすりつぶす、非道・無法な企業を許さないために、政府として「ブラック企業」の実態を調査すること、背景にある長時間労働を規制し、若者に安定した雇用を保障することを強く求めます。

オスプレイ低空飛行訓練――国民の安全に責任持つなら中止と配備の撤回を米側に迫れ

 きょうから米軍岩国基地を拠点に、オスプレイの低空飛行訓練が始まります。

 すでに沖縄では、昨年10月にオスプレイが配備されて以来、「住宅密集地をさけること」とした日米合意などなかったかのように、密集地の上空をわが物顔で飛び回り、深夜10時以降の夜間飛行訓練、重さ3トンものコンクリートブロックをつり下げて運ぶ訓練など、戦地を想定した異常な訓練が繰り返されています。

 昨年末の沖縄県の調査では、実に飛行の6割が日米合意に違反していました。ところが、政府はいまだに合意違反を認めることさえしていません。こんな姿勢でどうして国民の命、安全を守ることができるのですか。

 米海兵隊の「環境レビュー」には、オスプレイの任務は、「橋頭堡(ほ)や中間輸送を要さずに、艦船から離陸し迅速に人員、装備及び補給物資を陸地の前線戦闘区域へと輸送すること」であり、低空飛行訓練の目的は「遠征地における海上または陸上拠点からの運用、強襲支援及び航空退避」のためであると明記されています。

 日本の防衛とは何の関係もない、米軍が海外で戦争するための訓練を、なぜ沖縄県民が、なぜ日本国民が、甘受しなければならないのですか。

 沖縄でも本土でも、米軍によるオスプレイの低空飛行訓練を中止し、配備を撤回するよう米側に申し入れるべきではありませんか。それこそが国民の安全に責任を持つ総理の第一の任務であることを述べて質問を終わります。 


見本紙 購読 ページの上にもどる
日本共産党 (c)日本共産党中央委員会 ご利用にあたって