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2013年3月4日(月)

主張

「混合診療」の解禁

「医療の平等」原則を崩すのか

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 健保や国保など公的医療保険の対象になる診療(保険診療)と、保険対象外の診療(自由診療)を併用する「混合診療」解禁に向けた議論が、安倍晋三政権下で加速しています。政府の規制改革会議は6月に結論を出すことを狙います。環太平洋連携協定(TPP)交渉参加でも大きな焦点のひとつです。高額な治療費が必要となる「混合診療」は、お金のあるなしで受けられる医療に差がつく仕組みです。誰もが安心して必要な医療が受けられる原則を根底から覆す「混合診療」の拡大・解禁は許されません。

患者の利益にも逆行

 日本の医療制度は「混合診療」を、一部の先進医療などを除いて認めていません。すべての国民が何らかの公的医療保険に加入する「国民皆保険」のもとで、必要な医療はすべて保険診療で行うことを大原則にしているからです。

 保険診療は、かかった治療費の1〜3割が患者負担です。保険診療が対象にしている治療法や薬は、政府が安全性や有効性などを確認して価格も決めています。

 この仕組みがあるからこそ、所得の違いに関係なく国民だれもが平等に、安全で必要な医療を比較的軽い費用負担で受けることが保障されているのです。

 「混合診療」の拡大・解禁は、この「国民皆保険」に大穴を開けるものです。

 最新の医療技術などが多く、まだ保険診療が認められない自由診療は百万円単位の高額な医療費も全額患者負担です。「混合診療」で仮に保険診療分が3割負担になったとしても自由診療分はそのままなので合計治療費は高いまま固定されます。しかも、いったん「混合診療」に組み込まれた新しい医療技術は、保険診療が適用されにくくなり、結果としてお金のない人は最新医療から排除され続けることになります。安全性の未確立の医療が、保険診療と抱き合わせで“お墨付き”を得て、無制限に広がる危険もあります。

 最新の治療を受けることを心待ちにしている難病患者の団体も「混合診療」の拡大・解禁に強く反対し、「安全で治療効果のある薬や治療は速やかに保険適用を」と求めています。「混合診療」を解禁している韓国では、家計の医療費負担が重くなり、医療費負担に対応するために民間医療保険への加入が増加しているといわれています。「患者のためになる」などとして「混合診療」拡大・解禁を主張する根拠は成り立ちません。

 「混合診療」の拡大・解禁を長年求めているのは、日米の大手医薬品企業と民間保険会社です。経団連は、公的保険の縮小を意味する「医療保険の給付範囲」の見直しを求め、「高度医療」は保険の適用外にすることを迫っています。日米財界の利益のために、貧富の差で医療に差をもたらす「混合診療」を拡大するのはまったく道理がありません。

「皆保険守れ」の共同強め

 すべての国民は貧富の格差にかかわりなく医療を受ける権利を持っています。TPP交渉参加で「混合診療」解禁の危険が強まるなか日本医師会も「国民皆保険」を守れと声をあげています。「混合診療」をはじめとする医療の営利化を許さず、公的医療保険の充実によって日本の医療を立て直す国民的な共同を強めるときです。


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