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2013年3月1日(金)

イタリア総選挙結果

“欧州への厳しい警告”

緊縮路線 転換促す声

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 安定した議会多数派を基盤とする政権の成立が望めないというイタリア総選挙の結果は、緊縮一本やりの政策に拒否の回答を出したものになりました。緊縮路線を押しつけてきた欧州連合(EU)とこれを主導するドイツの危機克服路線を、いまこそ見直すべきだとの声が強まりつつあります。(パリ=浅田信幸)


 「欧州に対する厳しい警告」(仏ルモンド紙)、「ドイツ主導の緊縮と予算削減の政策は最大の挑戦に直面」(英ガーディアン紙)―総選挙の最終結果が判明した翌日の欧州の各紙は、結果に示されたイタリア国民の声が欧州に向かって発せられたものでもあることをいっせいに伝えました。

 債務危機に陥ったイタリアに緊縮政策の実行を迫ったのが、欧州一の経済大国ドイツであり、EUの執行機関である欧州委員会でした。その結果、欧州経済はドイツを含めて不況に陥り、EU全体として失業率がさらに上昇すると欧州委員会も認めざるをえない情勢です。

大規模なデモ

 緊縮政策に対する反発は昨年のギリシャ総選挙でも明確に示されました。またイタリアの投票日を間近に控えた16日にはポルトガルで、20日はギリシャで、21日にはベルギーで、23日はスペインで、それぞれ大規模な反緊縮デモやストライキが繰り広げられました。いまや欧州全域で緊縮策に対する怨嗟(えんさ)の声があふれていると言っても過言ではありません。

 しかし、欧州委員会とドイツはあくまで緊縮政策を進める意向です。ウェスターウェレ独外相は「欧州の債務危機を解決するうえでイタリアは中心的役割を担っている。財政再建と改革の政策が一貫して追求されることを期待する」とコメントしています。

 一方、モスコビシ仏経済相は「イタリアの選挙から引き出すべき教訓は、改革と財政再建の政策を進める必要があるとしても、人々に成長と雇用の展望を示さなければならないということだ」と、軌道修正の必要性を強調しました。

 ルモンド紙も27日付の社説でこう疑問を投げかけました。「イタリアで、スペインで、ギリシャで、ポルトガルで、増え続ける緊縮拒否の世論に対して、どこまで緊縮政策を押しつけることができるのか」と。

「未来かかる」

 伊サンニオ大学のエミリアノ・ブランカッチョ教授と英リーズ大学のジュゼッペ・フォンターナ教授は英フィナンシャル・タイムズ紙に寄稿し、「イタリア選挙の結果はユーロ圏と英国の政策決定者に対しても、路線を変える時だと伝えているのではないか。ユーロの未来、世界経済の未来がかかっているのだ」と訴えました。

 緊縮政策推進の権化ともみられた国際通貨基金(IMF)では、ブランシャール調査局長が今年初め、支出削減と増税の緊縮措置が経済全般に及ぼす否定的影響の評価を“誤っていた”と認める作業文書を作成。「財政再建と結びついた失業の増大と内需の減退をかなり過小評価していた」とし、路線の修正をはかりつつあるようにみえます。


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