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2013年3月1日(金)

日銀総裁人事案

「金融緩和」推進のための人選

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 政府が28日、国会に提示した次期日本銀行総裁・副総裁の人事案は安倍晋三首相の意を受けて「大胆な金融緩和」を進めるための人選です。 (山田俊英)


 金融緩和は安倍首相が進める経済政策「三本の矢」の一つ。政府は、3月19日に退任する白川方明総裁の後任に「首相の目指す大胆な金融緩和を実行できる人を中心に選ぶ」(菅義偉官房長官)と繰り返してきました。

「2%」支持

 日銀は政府の圧力を受けて1月、2%の物価上昇目標を導入し、政府と共同声明を発表しましたが、白川総裁は安倍政権誕生前には安倍自民党総裁が主張していた「無制限の金融緩和」に抵抗を示していました。日銀に2%の物価目標を導入させるために安倍氏は日銀法改定の脅しまでかけました。

 日銀総裁に選任された黒田東彦アジア開発銀行総裁は報道機関とのインタビューで、2%の物価目標を支持し、金融緩和の手段として金融資産の購入拡大を主張しています。副総裁に選任された岩田規久男学習院大学教授も思い切った金融緩和でインフレを起こすことを主張してきました。安倍首相の意に沿う人物です。

 「大胆な金融緩和」は「デフレ不況」に対する誤った処方箋です。

 日銀は2010年10月、金融緩和のため金融資産の買い入れを決め、これまでに長期国債26兆円を購入しました。2%の物価上昇を達成するために日銀が行うのは、長期国債の購入をこれまで以上に増やすことです。政府が発行した国債を直接引き受けるのでなく、銀行から買い取るとはいえ、実質的に政府の借金を肩代わりするものです。財政は悪化し、つけは消費税増税などで庶民が負担させられます。

危険な資産

 金融資産の買い入れでは長期国債以外にも指数連動型上場投資信託(ETF)1兆4941億円、不動産投資信託(Jリート)1160億円を買い込んでいます。いずれも値動きの激しい金融資産です。

 安倍首相は「外債購入」にまで言及したことがあり、日銀は新体制のもとでリスク性の金融資産購入をさらに拡大する可能性があります。現に日銀の木内登英審議委員は28日、リスク性資産の購入拡大を示唆しました。日銀がこうした金融資産をさらに多く抱え込むことは中央銀行としての信頼性を損ないかねません。

 また、賃金が上がらないもとで物価が上昇し、生活必需品が値上がりすれば困るのは国民です。物価目標を支持する論者は物価が上がれば賃金が上がるかのように言いますが、物価が上がっても賃上げに何の保証もありません。

 「デフレ不況」の原因は長年にわたって労働者の賃金が引き下げられてきたことにあります。賃上げと安定した雇用の拡大で国民の所得を増やすことが今求められる政策です。それは日銀ではなく政府の責任です。金融緩和を進める人物を日銀総裁に据えても「デフレ不況」から抜け出すことはできません。


 日銀総裁 日本の中央銀行である日本銀行の最高責任者。日銀総裁と副総裁(2人)の任期は5年。審議委員6人とともに計9人で、日銀の最高決定機関である政策委員会を構成します。政策委員会の議長は互選で決まりますが、通常、総裁が務めます。

 指数連動型上場投資信託(ETF) 多数の投資家から資金を集め、資産運用の専門家が運用して成果を投資家に分配する金融商品が投資信託です。ETFは株価指数などに連動するよう運用される投資信託です。証券取引所に上場されて取引されます。

 不動産投資信託(Jリート) 多くの投資家から集めた資金で不動産を買い、賃貸収入や売買益を投資家に分配する金融商品。

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