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2013年2月11日(月)

ゆうPRESS

波の力 感じる

世界ボディーボード選手権(女性18歳以下部門)日本人初V 岡澤 紫織さん(15)

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 15歳の中学生が、日本のサーフィンの歴史に名を刻みました。昨年12月にベネズエラのマルガリータ島で開かれた国際サーフィン連盟(ISA)の世界ボディーボード選手権で、日本人として初めて女性18歳以下の部門で優勝した千葉県白子町の岡澤紫織さん(15)=中学3年=。自分の活躍で日本のボディーボードを盛り上げたいと頑張っています。(細川豊史)


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(写真)「スピン」の技を決める紫織さん=3日、千葉県一宮町の一宮海岸

 世界を意識して初めて臨んだ2012年のシーズン。いきなり日本代表の座をつかみました。

 決勝戦では、試合時間残り1分の時点で1位。「祈るような気持ちでした。優勝はすごくうれしい」とはにかみます。

スピンが高評価

 紫織さんのスピンは、後ろで足をクロスさせた形の美しさが高い評価を得ています。今大会でも、スピンやエルロロといった技を決め、ブラジル、フランス、ベネズエラの3カ国の選手を抑えて栄冠を勝ち取りました。

 史上初の日本人の優勝。しかも、小学生のころ、同じサーフィン教室に通った大原沙莉さん(17)=千葉県一宮町、高校2年=も、女性部門で日本人初の世界チャンピオンになりました。「沙莉ちゃんと、ISAの年表に私たちの名前が載るねって喜びました」

 世界の仲間からは、学ぶことも多い。「海外の選手は、すごく思いきって来る。波に乗るのが速くて、すごいなと思いました」

重い金銭的負担

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(写真)世界選手権の金メダルを手にする紫織さん=3日、千葉県一宮町の一宮海岸

 紫織さんがボディーボードを始めたきっかけは、ロングボードをやっている母親、美紀さん(43)の影響。姉の紫穂さん(18)もロングボードで昨年の国内ランキング1位です。

 紫織さんは保育園児のころからボードに親しみ、小学5年から大会に出場しています。「ボディーボードの魅力は、波の力を感じられるところ。技がいい感じに決まったときがうれしい」

 波の力は強く、衝撃を直接受けると腰が痛みます。そんなときは、お風呂にゆっくりつかって体を癒やします。

 競技を続けるうえで重くのしかかるのは、金銭的な負担です。世界大会に出場する資格を得ても、費用はすべて自費。負担が重く、辞退する選手が珍しくありません。

 「お父さんが働いて稼いでくれて、お母さんが応援してくれるので、自分も頑張らないと、と思います」

原発事故の影響

 サーフィンを取り巻く状況は厳しくなっています。

 一宮町は、全国からサーファーが移住する人気の海。しかし、2011年の東京電力福島第1原発事故の影響で、訪れる人の数は、以前の30万〜40万人から15万〜20万人に激減しました。

 同町サーフィン業組合の中村新吾事務局長は、「11年を境に親子連れや子どものサーフィン教室への申し込みが激減しました。事故の影響もありそうです」と話します。

 国内唯一のボディーボード専門誌も廃刊に。

 「波を求めて一宮に移住した人でもよその海へ行くという話も聞きます。サーファーが減るとメーカーや地元の店も元気がなくなり、大会スポンサーも減ってしまいます」と美紀さん。紫織さんも「試合がなくなってしまうのはいやです」と切実です。

 趣味はミサンガ作りや、一人で歌うこと。普通の女子中学生の顔を持ちます。美紀さんは「頑張り屋さん。『○○がダメだったからもう一度やってくる』と言って海に入ることがあり、自分でよく考えてやっているんだなと感じます」。

 春からはボディーボードにいっそう打ち込むため、通信制の高校に進学します。

 「ボディーボードをやっている人には私より年下の人がいません。頑張って、誰もが知っているプロボディーボーダーになりたい。年下の子たちにやってみたいと思ってもらって、ボーダーが増えたらいいな」


これからも世界視野に

 日本サーフィン連盟のコメント 岡澤さんと大原さんには、これからも世界を視野に入れて頑張ってほしいと思います。サーフィンの楽しさや面白さをより多くの方に知っていただきたい。将来は、世界で見て体験したこと、その高い技量を次の世代へ受け継ぐ活動にも取り組んでいただけたらと思います。

 少子高齢化やデフレ不況の影響で、連盟の競技者会員はこの十数年減少傾向にありましたが、今年になり回復傾向が顕著で競技者会員は増えています。

 今回のように日本の高いレベルが世界で認められることで、サーフィンが多くの方に知られ、競技者の増加という循環につながります。それは選手にも返ってくるものがあります。連盟としても活性化に取り組み、震災からの復興によって、海岸にレジャー・スポーツを楽しむ人が戻ることを願います。


サーフィン・ボディーボードとは?

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(写真)「エルロロ」の技を決める紫織さん=3日、千葉県いすみ市の太東海岸

 サーフィンは日本語で「波乗り」。約1600年の歴史を持つことはあまり知られていません。サーフボードの上に立って波を滑るロングボードとショートボード、板の上に腹ばいになって波を滑るボディーボードがあります。ボディーボードは1970年に生まれた新しい競技です。

 ボディーボードの代表的な技は、波を滑りながら前後に回転する「スピン」や、空中でボードごと1回転する「エルロロ」です。

 試合は時間内に決めた技の難易度に応じたポイントの合計を競います。


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