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2013年2月10日(日)

主張

安保法制懇再開

解釈改憲の異常で危険な企て

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 安倍晋三政権が、首相の諮問機関である「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、座長・柳井俊二元駐米大使)を再招集し、歴代政権がそろって憲法で禁止されているとして否定してきた「集団的自衛権の行使」についての検討を再開しました。夏までの提言を目指します。

 安倍首相がお気に入りの有識者を集め、いわばお手盛りともいうべきその提言を根拠に政府の憲法判断を覆し、「集団的自衛権行使」容認の野望を遂げようなどというのは異常で危険な企てです。

戦争を可能にする提言

 もともと「集団的自衛権の行使」は安倍首相の年来の主張です。「安保法制懇」も安倍首相が第1次政権を担当した2007年に同じメンバーで設置したものです。ところが懇談会が提言を提出する直前に安倍首相が辞任したため、後任の福田康夫首相に提出された提言はそのまま棚上げになっていました。「集団的自衛権の行使」は憲法に違反するという政府の立場を踏まえれば当然です。それを安倍氏が政権に復帰したとたん懇談会を再招集し、改めて提言を受け取り、さらに検討させるという経過そのものが異常です。

 「集団的自衛権の行使」とは、日本が武力攻撃も受けていないのに、同盟国であるアメリカを助けて武力を行使することです。憲法は戦争を放棄し、交戦権を否認し、戦力は持たないと決めています。日本が攻撃もされていないのに他国といっしょになって武力を行使するのは「交戦」そのものです。

 歴代政府は、自衛隊は自衛のための最小限の武力で憲法が禁止する「戦力」には当たらないとしてきましたが、「集団的自衛権の行使」は、そのいい分さえ根底から崩壊させることになります。「集団的自衛権の行使」の容認が解釈改憲そのものであるのは明らかです。憲法尊重義務がある首相が、政府の金を使ってこうした懇談会を設置し、検討させること自体、憲法上問題があります。

 「安保法制懇」は前回、「公海での米艦の防護」「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃」など「4類型」を示して自衛隊の武力行使を認める提言をだしました。しかし、日本が攻撃も受けていないのになぜ日本の自衛艦が米艦を守って反撃するのか、日本を狙ったわけではなく日本を飛び越えてアメリカに向かう弾道ミサイルをなぜ日本が迎撃できるのか―何ら合理的根拠は示せていません。「日米同盟を強化する」という理由だけで憲法解釈を変え、アメリカとともに公然と戦争する道にふみだすのは暴論です。「集団的自衛権行使」の危険な企てを断念させることが重要です。

9条守れの声大きく

 日本の戦前の侵略戦争を反省し、戦争を放棄した憲法は、日本が世界に誇るべき財産です。憲法9条のもとで日本は戦後、世界でも日本でも戦争による犠牲者を出していません。日本が「集団的自衛権の行使」を認め戦争への道を踏み出すことは、国民が認めないのはもちろん、アジアと世界でも日本が孤立を深める道です。

 安倍政権は、「集団的自衛権行使」の解釈改憲の企てとともに、憲法9条を狙った明文改憲の企ても強めています。改憲ではなく、9条を守り生かせという声を大きくすることが急務です。


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