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2013年2月9日(土)

日米同盟強化アピールする狙いだが

障害となる憲法

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 「『集団的自衛権の行使』の見直しは安倍政権が進める大きな方針の一つだ。これで日米同盟関係がどう変わるのか、オバマ大統領と議論したい」

 安倍晋三首相がこう表明したように(1月13日のNHK「日曜討論」)、集団的自衛権の行使に関する懇談会を再開したのは、2月下旬の日米首脳会談に向けて、同盟強化をアピールするためです。

 「血の同盟」。安倍氏は2006年の第1次政権発足前に出した著書(『この国を守る決意』)でこう述べ、自衛隊が米軍と肩を並べて海外で武力行使し、ともに“血を流す”同盟を志向していました。

 その障害となるのが憲法です。安倍氏は9条改憲を掲げつつ、当面の措置として集団的自衛権の行使を禁じた政府解釈を変更するため、名うての同盟強化論者を集めて安保法制懇を結成しました。

 安倍氏は第2次政権発足にあたり、「日米の絆を取り戻す」と称して、集団的自衛権の行使を再び、前面に掲げたのです。

 再開された安保法制懇は当面、08年の報告書で検討した「4類型」(表)に基づいて検討を始めます。ただ、当時の認識の背景にあったのは、ブッシュ前米政権によるイラク・アフガニスタンでの「対テロ」先制攻撃戦争と、それに追随した自衛隊派兵のさらなる拡大です。

 現在のオバマ政権は「対テロ」戦争からの早期撤退を掲げています。

議論方向見えず

 安倍氏は「4類型で十分なのかも含めて、もう一度議論してもらいたい」(1月17日の記者会見)と述べ、対象を拡大する方針ですが、具体的な方向はまだ見えていません。

 加えて、安倍氏は新たな政権構想(『文芸春秋』1月号)で、「尖閣海域の公海上を米軍の船と海上自衛隊の船が航行している際に、米国の艦船が攻撃を受けた際、自衛隊はこれを救出できるのか。集団的自衛権の行使を認めない限り、答えはノーです」と、尖閣問題での「米中衝突」を想定して論じていることも、問題を複雑にしています。

 集団的自衛権の行使は、「地球規模の日米同盟」をめざす米国の要求が背景にあります。同時に、対中関係強化をめざす米国にとって、現時点では“障害”になりかねないとの見方もでています。(竹下岳)

図

 集団的自衛権 国連憲章は国連加盟国に武力行使を禁じていますが、「(国連安保理が必要な措置をとるまでの間)個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない」(第51条)としています。日本政府は、集団的自衛権を「保有」しているものの、その行使は自衛のための「必要最小限度の範囲」を超えており「憲法上許されない」との見解です。(1981年の政府答弁)


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