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2013年1月19日(土)

アルジェリア軍 なぜ強硬姿勢

仏、支持 英、非難

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 アルジェリア南東部イナメナスの天然ガス関連工場で16日に発生し、日本人を含む約40人が人質となった事件は、北西アフリカでイスラム武装勢力の台頭があることを改めて示しました。


テロと内戦で15万超が死亡

 人質事件発生の引き金となったのは、アルジェリアの南隣マリで進むフランス軍によるイスラム武装勢力の掃討作戦です。

仏軍撤退を要求

 人質事件の犯行グループが出した声明は、仏軍のマリからの撤退を求めました。事件発生翌日の17日には、東アフリカのソマリアでイスラム武装勢力アルシャバーブが、仏軍のマリ介入を理由に2009年7月以来拘束しているフランス人の人質を「処刑した」と発表。アルジェリアとソマリア両国の勢力が、マリの動向に呼応した動きを見せました。

 アルジェリア政府が当初から犯行グループとの交渉を拒否し、多数の死傷者を伴う救出作戦に打って出た背景には、1990年代の政府とイスラム勢力との対立があります。

 同国では90年、地方選挙で圧勝したイスラム主義勢力への反発から、世俗派の後押しを受けた軍部がクーデターにより政権を掌握しました。政府からの弾圧を受けた国内のイスラム勢力は92年、武装イスラム集団(GIS)を結成。世俗派に対するテロ活動が引き起こした事実上の内戦で2000年までに15万人以上が死亡したとされています。

 内戦は2000年、イスラム原理主義組織イスラム救国戦線(FIS)と政府との停戦合意により終結。その後、アルジェリア政府は内戦によるテロのイメージを払拭(ふっしょく)するため、テロに対する強硬姿勢を貫いてきました。

各国の対応様々

 アルジェリア政府が早々に強硬突入を決めたことに対し、各国の反応はさまざまです。

 フランスのオランド大統領は自国民の犠牲にもかかわらずアルジェリア政府の決定を支持しました。対照的に、イギリスのキャメロン首相は、同国政府の拙速さを非難し、情報が錯綜(さくそう)するなか「さらに悪いニュースを覚悟しなければならない」と述べました。(島崎桂)

アルカイダ系が関与

 アルジェリア治安当局者は、今回の邦人などの人質事件に「西アフリカ統一聖戦運動(MUJAO)」が関与したとの見方を示しています。

 MUJAOは、北西アフリカで活動を活発化させている国際テロ組織アルカイダ系の武装組織「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ(AQIM)」の分派とされます。

 AQIMは2006年にアルカイダに合流し、アルジェリアや周辺国政府、フランスなどの旧植民地国の権益を求めて外国人の誘拐やテロ、薬物・武器の売買を行ってきました。

 ロイター通信によれば、16日にアルジェリアで起きた外国人人質事件の首謀者とみられているモフタール・ベルモフタール氏は昨年までの数年間、AQIMの指導者をしており、最近になって自らをリーダーとする新たな組織をサハラ地域で立ち上げたと報じられています。

 一方、仏軍の空爆が続くマリ北部を占領するのは、イスラム過激派の「アンサール・ディーン」と遊牧民トゥアレグ人のイスラム組織「アザワド解放国民運動(MNLA)」の二大勢力。両者は昨年5月「イスラム国家創設のため」に合併で合意し、MUJAOなどの組織とも連携して勢力を強め、シャリア(イスラム法)による厳格な統治を目指しています。

 アルジェリアの隣国リビアでは11年8月にカダフィ政権が崩壊し、政権軍の武器庫から大量の兵器が隣国の武装組織などに流出したといわれています。それが周辺国の不安定さを急速に進めているという指摘もあります。(野村説)


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