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2013年1月14日(月)

笹子トンネル天井板 金具1本に2.5トン

他と比べ異常な負荷

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 天井板の崩落で9人が死亡した中央自動車道・笹子トンネル上り線の事故で、天井板を支えるつり金具が1本しかないなど笹子トンネルは同じ天井板方式のトンネルと比べてもきわめて不安定な構造にあることが13日、本紙の調べでわかりました。他の高速道路会社では、落下防止対策をとっているところもあり、笹子トンネルに安全対策を施してこなかった中日本高速道路の責任があらためて問われます。

 (矢野昌弘)


中日本高速 老朽化改修せず

写真

(写真)2012年12月2日の事故発生から間もない、緊迫した様子の笹子トンネル上り線=山梨県大月市側(小林義孝都留市議撮影)

 国土交通省は事故を受けて、天井板方式のトンネルの緊急点検を昨年12月に実施。高速道路会社5社の40トンネル(笹子の上下含む)の点検結果について本紙は分析しました。

 その結果、コンクリート製の天井板とトンネル天井をつなぐつり金具が1本だけのトンネルは、笹子の上下と恵那山トンネル下りなどの6本だけでした。

 その他のトンネルでは、つり金具が2〜4本の構造です。

 つり金具が複数本ある方式と比べ、1本方式では金具1本に負荷が集中します。

 笹子の場合は、天井板2枚計2・5トンを1本の金具で引っ張っていました。ところが、3本方式の関越トンネル上りの場合、板4枚の重さが計320キロほどにすぎません。

 金具が多いほど、板自体が軽くなる傾向にあり、それによって金具1本あたりの負荷が、1本方式と比べて格段に小さくなることがわかります。

 また西日本高速道路の関門トンネル上下線は、笹子と同じ1本方式でしたが、2008年のリフレッシュ工事で3本方式に変更していました。

 1本方式のものでも、阪神高速道路の「新神戸トンネル」(1976年度完成)は、トンネル側壁と一体化した構造。つり金具で天井板をつり下げていた笹子とは、違う設計になっています。また2001年度に完成した首都高速道路の飛鳥山トンネル内・外回りも1本形式ですが、緊急点検で異常は見つかっていません。

 トンネルによっては、笹子事故のような天井板の崩落対策をとっている所もありました。

 阪神高速の神戸長田トンネル(民営化前の02、03年度完成)では、落下防止ワイヤを設置。同社によると「(3本のつり金具の)ボルトが抜けても、天井板が地上に落下しないように建設当時から設置している」といいます。

 こうしてみると、1970年代につくられ、老朽化した1本形式のトンネルは、中日本が持つ笹子と恵那山トンネル下りだけ。同社が安全対策をとった事実は、これまでに報告されていません。また同社がコスト削減を理由に改修を先延ばしにしていたという関係者の証言もあります。

 一方で、西日本高速は、05年10月の民営化以降、トンネル15本で天井板の撤去を行ったことを本紙に明らかにしています。こうしたことから見ても、中日本の管理体制、安全意識が改めて問われています。

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