2013年1月14日(月)
西岸入植抗議
テントを強制撤去
イスラエル 国際社会の非難無視
【カイロ=小泉大介】イスラエル政府は13日未明、ユダヤ人入植地建設を計画している占領地・ヨルダン川西岸の通称「E1」地区で、抗議行動のためパレスチナ人らが設置していたテントを強制撤去しました。入植地建設推進に対する国際社会の非難を無視する姿勢を改めて鮮明にしたものといえます。
イスラエル紙ハーレツ(電子版)によると、同国政府は約500人の軍・警察部隊を動員し、11日に設置されたテント21張りと約200人のパレスチナ人と外国の支援者を退去させました。警察当局は負傷者は出なかったと声明しました。
今回の措置はネタニヤフ首相の12日の命令にもとづくもの。しかしハーレツ紙によると、イスラエル司法当局は11日、当事者の合意による退去を実現するため6日間の猶予期間を認める判断を下していました。
「E1」地区は、西岸のマーレアドミム入植地群と東エルサレムの間に位置します。イスラエル政府は、同地区に大規模入植地を建設したうえで、マーレアドミムとともに分離壁で東エルサレムに取り込む「大エルサレム」構想を描いています。その強行は、東エルサレム占領支配の拡大・恒久化とともに、西岸の南北分断をもたらします。
イスラエル政府は昨年11月に国連総会がパレスチナ「国家」格上げを決議した直後に、長年凍結状態だった「E1」地区での入植地建設計画再開を決定。これに対し国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は「2国家共存の解決策にほとんど壊滅的な打撃を与える」と警告を与えていました。