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2012年11月24日(土)

権力集中の「宣言」

「現代のファラオだ」

エジプト大統領に批判

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 【カイロ=小泉大介】エジプトのモルシ大統領は22日、期限付きながらも自らの決定を絶対化する新たな「憲法宣言」を発しました。対外的にはイスラエルとイスラム武装抵抗組織ハマスとの停戦合意を仲介する一方、国内的には権力集中をはかる姿を鮮明にしたことに厳しい批判の声が上がっています。


 今回の「宣言」は大統領報道官が国営テレビを通して読み上げたもの。「新憲法制定と新人民議会(下院)選出まで、大統領による憲法宣言や布告は最終的なものであり、何者も異議を唱えることはできない」とし、司法であっても覆せないと明記しました。

 エジプトでは昨年末の人民議会選挙を経てモルシ大統領の出身母体であるイスラム主義組織のムスリム同胞団が半数近くを占める議会が誕生しましたが、今年6月、最高憲法裁判所が選挙制度違憲判決を下したのを受け解散しました。これに対し就任早々のモルシ大統領は7月、解散を取り消す布告を出しましたが、同裁判所が無効を命じた経緯があります。

 識者からは、今回の「宣言」は、改めて議会解散の取り消しを狙ったものではないかとの見方が出ています。

 また「宣言」は、新憲法起草作業を行っている憲法起草委員会について、「いかなる司法当局もこれを解散させることはできない」と強調。12月の起草期限を2カ月間延長した上で、イスラム主義者が多数を占める現行の委員会に起草を完了させる方針を示しました。

 憲法起草委員会は、母体である人民議会が解散したことから、現在、最高憲法裁判所が合憲性の審査を行っています。この点でも、「宣言」は司法権を著しく制限するものといえます。

 エルバラダイ国際原子力機関前事務局長は「大統領は現代のファラオ(古代エジプト王)となった」と痛烈に批判。6月の大統領選に立候補したムーサ前アラブ連盟事務局長も「これは司法と国民の意思に対する虐殺行為だ。国民の統一した力で立ち向かわなければならない」と表明しました。


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